2018年度以降の職場のメンタルヘルス推進に関する行政動向について

去る11月2日に厚生労働省において開催された労働政策審議会安全衛生分科会にて、第13次労働災害防止計画(案)が上程されました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000183222.pdf

労働災害防止計画は、メンタルヘルス対策を含む職場の安全安心の確保を目標として、5年を1単位として策定される厚生労働省の労働安全衛生に関する基本計画です。

第13次労働災害防止計画は2018年度から2022年度に亘る5年間の目標に関するものであり、今後の職場のメンタルヘルスに関する行政の方針を理解し、動向を予測する上で大変重要と考えられます。

労働災害防止計画は各分野の数値目標を掲げてPDCAを回すという形式になっており、第13次労働災害防止計画(案)においても下記のようにメンタルヘルス対策について数値目標が掲げられています。

  • 仕事上の不安・悩み・ストレスの相談先が職場にある労働者の割合を90%以上(71.2%:H28)とする。
  • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(56.6%:H28)とする。
  •  ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(37.1%:H28)とする。

2013年度から2017年度までの第12次労働災害防止計画においては、「平成 29 年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を 80%以上とする」のみがメンタルヘルス分野の数値目標として掲げられていました。第13次労働災害防止計画においては、新たに相談先の確保、ストレスチェック結果の集団分析の実施とその活用が数値目標として追加された形になっています。

上記数値目標を達成するための施策としては、下記のように(1)産業医による面接指導や健康相談等を通じた健康管理の強化、(2)事業場外資源も含めた相談窓口の設置の推進、(3)集団分析結果の活用を通じた総合的なメンタルヘルス対策の推進、(4)小規模事業場におけるストレスチェック制度の普及などメンタルヘルス対策の推進の4項目が挙げられています。

出所:厚生労働省労働政策審議会安全衛生分科会 11月2日公表 ※下線は株式会社ベターオプションズ

第12次労働災害防止計画と比較すると、ストレスチェック制度を前提として、より一歩踏み込んだ形でのメンタルヘルス対策が打ち出されていることが特徴と言えます。

また、2点目の事業場外の相談窓口の設置の推進については、2017年度までの第12次労働災害防止計画では「事業場内での相談体制の整備を推進」が重点施策となっていたことと対照的です。2017年9月に厚生労働省と文部科学省の共管で国家資格化した公認心理師が事業場外資源の1つとして活用が推奨される可能性があり、ストレスチェック制度における公認心理師の活躍が期待されます。

 

以 上

 

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