第26回日本産業ストレス学会に参加しました

さる11月30日~12月1日の日程で、東京都千代田区の一橋大学一橋講堂において、第26回日本産業ストレス学会が開催されました。弊社からは代表取締役の宮中が参加しました。

簡単ではありますが、以下に参加したプログラムに関する所感、関連する資料をお示しします。

学会のプログラムや日程表はこちらです。 http://www.procomu.jp/jajsr2018/program.html

長時間労働の行動経済学

労働経済学・行動経済学が専門の大阪大学経済学部の大竹文雄教授による教育講演でした。

行動経済学の基本的な知識の紹介と、行動経済学の知見を活用した長時間労働の防止に対するアプローチに関する内容でした。そもそも経済学的には長時間労働をするメカニズムがどう分析されるのかという内容や、実際の企業のデータを用いた、子供の頃に夏休みの宿題を最終日近くになってやったというような後回し傾向のある人は深夜残業時間が長い、ビッグファイブと残業時間に関係があるといった研究成果は大変興味深く感じました。経済学と心理学は遠い関係のように思われますが、産業分野ではかなり距離が近い学問領域だと感じた次第です。

<講演で言及のあった研究に関する論文>

https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/08j019.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbef/10/0/10_50/_article/-char/ja

働くことのストレスとマインドフルネス

慶應義塾大学医学部の佐渡充洋先生によるマインドフルネスに関するワークショップでした。

マインドフルネスの基本的な内容の説明が行われた後、聴衆全員が参加しての注意の分散に関する簡単な実験、レーズンを用いたマインドフルネスの実習の効果もあり、マインドフルネスについて非常に理解が深まったワークショップでした。マインドフルネスについては一通り理解しているつもりではあったものの、第一人者の先生による大変明快な説明を受けて、理解を深める機会になりました。

佐渡充洋先生監訳による関連書籍

https://www.sogensha.co.jp/index.php/productlist/detail?id=1654

 

働き方の近未来:働き方の多様化とポジティブメンタルへルス

ワークエンゲイジメントの第一人者である北里大学の島津明人先生がオーガナイザーを務めた、経営学者、建築家、情報工学者、健康教育学者の4人のシンポジストによるシンポジウムでした。

特に興味深かったのは、建築家でもある千葉大学予防医学センターの花里真通先生による、オフィスの設計と、ワークエンゲイジメントや従業員の生産性との関連についての話題提供でした。オフィス環境が従業員の集中やワークエンゲイジメントに影響するという内容は非常に興味深く、心理的な効果を意識したオフィスデザインが重要との認識を得た次第です。

その他の講演・シンポジウム等

働き方改革に関連するシンポジウム、産業領域での公認心理師のあり方に関する教育講演が開催されました。

一般演題

大学等の研究機関、民間企業、医療機関所属の発表者から職場のメンタルへルス、産業心理学に関する発表が合計40題ありました。

EAP数社から、各社が保有する数十万人規模の大規模なストレスチェックデータの分析から得られた知見に関する発表がありました。

従来から多かったストレス反応を目的変数とした研究に加えて、ワークエンゲイジメントのようなポジティブ心理学の概念を目的変数とした研究が多く見られたのも特徴的でした。

働き方改革に関連して、労働時間と高ストレスの関連を大規模データによって検討した研究や、勤怠記録のインターバル時間とストレス反応や仕事の負担との関連を検討した研究も多くあり、この後の労務管理を考える上で大変参考になりました。

終わりに

今回の学会では最新の研究成果の吸収に加えて、産業分野の研究者や実践家と多く知り合うことが出来ましたので、今後の弊社のサービス開発やアライアンスに活かして参ります。

 

以 上

 

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