ピープルアナリティクスのすゝめ①

弊社は、広く健康増進に関わる事業を営んでおりますが、今回はその中でも主要事業としているピープルアナリティクスについて解説致します。

ピープルアナリティクスとは?

グーグル社によれば、ピープルアナリティクスは下記のように説明されています。

https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/people-analytics/

ピープルアナリティクスとは、人事に関する慣行、プログラム、プロセスなどをデータに基づいて理解することを指します。レポートの作成、予測分析用の指標の設定、実験的調査といった分析手法を使って、新たなインサイトを明らかにしたり、人事上の問題を解決したり、人事部に指示を出したりすることができます。Google では、社員を採用、育成し、定着させるための基盤としてピープル アナリティクスを活用しています。

弊社では「人に関するデータを活用することにより組織のパフォーマンス最大化を図る技術」として捉えています。

具体的には、新卒採用時に、学歴、専攻以外の情報を活用して、期待する職務や社風との適合度が高い従業員候補を採用する、入社後に従業員本人の希望に加えて本人の職務情報や組織の情報を利用して最適な異動を行う、社内の研修プログラム後の受講者のパフォーマンスを追跡し研修プログラムの効果を検証する等が挙げられます。

ピープルアナリティクスはHRアナリティクスとも呼ばれており、近年日本においても注目を集めており、業界団体も設立されています。弊社にご相談頂く案件でもピープルアナリティクスに分類される案件が増えています。

https://peopleanalytics.or.jp/

今なぜピープルアナリティクスが急速に普及しているのか?

今般日本において、ピープルアナリティクス案件が増えている背景としては、生産性の向上の流れと情報技術の普及があると考えられます。

昨今少子化による人手不足に政府による労働時間の削減の推進が相俟って、少ない人数で、短い労働時間で最大限の付加価値を生む、つまり生産性の向上を図ることが企業における喫緊の課題となっています。

生産性の向上を図るためには、単に労働時間削減を呼びかけるのみならず、人がどのように付加価値を生み出しているのかを可視化する必要があります。

これまで企業においては、職務経歴、学歴、年齢、勤続年続年数といった属性が同一であれば、同じ業務パフォーマンスであることが暗黙の前提されて人事管理が行われてきました。しかし、行動科学の分野ではモチベーションなどの心理面がパフォーマンスに影響しているのは常識であり、業務に対する適性でパフォーマンスが大きく異なるのも常識です。そうしたモチベーションや適性を可視化し、採用、配属、異動、人材・組織開発、健康管理をより精緻に行うことが出来れば、従業員のパフォーマンスが向上し、生産性向上につながるのは容易に想像できます。

近年の情報技術の普及についてもピープルアナリティクスが盛んになった背景として見逃せません。特に、人事管理業務についてもクラウドサービス上で行われることが一般化したことの影響が大きいと言えます。従来別々のデータベースで管理されていた、あるいはエクセルファイル等によりローカルに管理されていた人事に関する情報がクラウドサービス上で統合管理されることになり、データフォーマットの統一化が進み、分析に必要なデータ収集が容易になりました。

その他にもいわゆる多変量解析、機械学習、深層学習といったピープルアナリティクスで用いる高度な分析手法が安価に行えることになってきたことも、ピープルアナリティクス普及の背景と言えます。

今なぜピープルアナリティクスに投資すべきか?

今、ピープルアナリティクスに投資すべきと考える理由は、ピープルアナリティクスより得られた知見の効果が長期にわたって継続するため、企業の競争優位につながるという点です。

ピープルアナリティクスが対象とする人に関するデータから得られた知見は、その他の経済指標や株価といった金融データの分析と比較すれば、再現性、安定性が高いと言えます。

たとえば、過去の経済指標や株価によって経済状況の将来予測を行う場合、過去のデータをうまく説明できる理論が今後も成り立つという暗黙の前提を置くことが一般的です。したがって、将来経済構造が全く変わってしまった場合には、それまでの過去データの分析から得られた知見が役に立たなくなる可能性があります。日本においては、いわゆるアベノミクス政策以降、金利、為替、株価が大きく変化したことは記憶に新しいかと思います。

一方で、人の性質は、安定性が高いものであり、ピープルアナリティクスにより得られた人に関する知見は、安定性を有します。たとえば、自社の従業員から得られた「研修期間は〇か月、内容は〇〇と△△が最適である」、あるいは「部長職のパフォーマンスに最も影響する因子は○○である」という知見は、自社の業態や採用者が大きく変わることがなければ、今後数年で変わることはないと考えられます。

したがって、ピープルアナリティクスにより、自社の従業員から有用な知見が得て人事施策に活かすことが出来れば、その効果は非常に長い期間継続し、ピープルアナリティクスを導入していない競合企業からの差別化を図ることが出来ると考えられます。

次回以降は、ピープルアナリティクスの具体的な活用事例、ピープルアナリティクスを導入するための体制づくり等について解説する予定です。

以 上

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