ピープルアナリティクスのすゝめ②

ピープルアナリティクス(人と組織のデータ分析)について紹介するシリーズ第二回目です。「ピープルアナリティクスのすゝめ①」はこちら。

https://better-options.jp/2019/02/24/%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%ab%e3%82%a2%e3%83%8a%e3%83%aa%e3%83%86%e3%82%a3%e3%82%af%e3%82%b9%e3%81%ae%e3%81%99%e3%82%9d%e3%82%81%e2%91%a0/

ピープルアナリティクスのすゝめ①

はじめに

ピープルアナリティクスに取り組むにあたって、最も重要なことは、「ピープルアナリティクスを活用して何をするのか?」という目的の整理です。

現在、残念ながら「エンゲージメント測定ツール」や「退職予測ツール」といった測定や分析ツールの導入自体が目的になってしまっている例が多くありません。そういったツールを導入した初年度は盛り上がりますが、2年目、3年目と年月が経つにつれて、熱が冷めツールだけが導入されている状態となっている企業が多いのが現状です。

そうならないために、ピープルアナリティクスを自社に根付かせていくためには、「ピープルアナリティクスを活用して何をするのか?」という目的の整理をしっかり行うことが重要です。なお、この整理については、経営層の合意を得ておくことがピープルアナリティクスに関する予算獲得のために重要です。

ピープルアナリティクスの目的とは?

弊社では、ピープルアナリティクスの目的は「企業の利益の増加」であること考えています。もちろん、従業員にとって働きやすい組織を作る、従業員が健康に働けることも重要ですが、企業の目的が利益獲得であり、利益がなければ従業員の福利厚生や健康管理に投入する予算もありませんので、「企業の利益の増加に貢献する」ことがピープルアナリティクスの一義的な目的と考えます。

ピープルアナリティクスによって企業の利益増加に貢献するには?

「利益=売上―コスト」ですから、企業の利益増加に貢献するには、売上の増加あるいはコスト削減に貢献することが必要となります。

まず、企業の売上の増加に貢献するにはどうすれば良いでしょうか?
営業担当者の営業成績が向上するように、採用、育成、人材配置、組織開発を行うことがそのための一手と言えます。

たとえば、営業成績の良い従業員とそうでない従業員の違いを分析して、営業成績につながっている要因、逆に、営業成績にマイナスになっている要因を明らかにしてはどうでしょうか?

ある業務経験が営業成績にプラスになっていることが分かれば、営業部門で活躍してほしい従業員がそのような業務経験を積めるように育成、異動配置を行っていくことが考えられます。

なお、分析の際には、営業成績には営業担当者個人の特性だけではなく、担当顧客の特性、営業所の競合環境や地域特性もありますので、そういった特性も考慮して分析することが必要です。

一方でコストの削減面で考えると、たとえば、従業員を採用するためにより効率の良い採用チャネルに予算を重点投資することが考えられます。
多くの企業において、採用活動のために就職活動サイトへの出稿、説明会への参加、リクルーターによるアプローチとさまざまなチャネルで学生へのアプローチを試みていると思います。

しかし、「どのチャネルが応募につながっているのか?」までは分析していても、「どのチャネルで入社した従業員がハイパフォーマ―になっているのか?」まで分析出来ている企業は稀だと思います。入社後数年後に活躍する従業員を採用出来る可能性の高い採用チャネルに予算を重点投資することで、より少ない予算で優秀な従業員を採用することが出来ると考えられます。

コスト削減のためのアプローチとしては、他にも、従来人事担当者→現場の課長クラス→人事部長→役員という4段階で面接をしていた場合に、最初の人事担当者の面接を代替するようなアセスメントをピープルアナリティクスを活用して開発するといったことが考えられます。
完全に人事担当者による第一面接を代替することは不可能でも、従来面接のみで判断をしていたのを、アセスメントの結果によって、アセスメント結果のみで判断する場合、アセスメントに加え面接で判断する場合に分けることが出来れば、人事担当者の面接に要するコストを削減することが可能となります。

売上増加とコスト削減のどちらから着手するか?

売上の増加とコスト削減のどちらから手をつけるべきか?という問いに対しては、後者が手をつけやすい場合が多い印象です。

売上の増加のために、営業成績の良い従業員の特性を分析する場合、従業員の営業成績、入社試験の成績、職務経験年数、性格検査結果等のデータが必要となりますが、営業成績のようなデータは営業部門が把握しており、人事部門は把握していないことが一般的です。そのようなデータを人事部から営業部門に依頼して入手することが出来れば良いのですが、難しい場合があります。
そのような場合は、まずは人事部門内のデータのみで完結しやすい、採用業務の工数削減等で社内でのピープルアナリティクス活用の実績を作り、それをもとに、営業部門に協力を要請するというアプローチが有効と考えられます。

ピープルアナリティクス活用がうまく行っている企業は、一部の部門(多くが人事部門)におけるピープルアナリティクス活用で実績が出来る→経営層や他部門への認知度の向上→経営層や他部門の協力が得やすくなる→社内の他部門のデータを利用できるようになり、さらに実績が挙がる、というサイクルがうまく回っていることが多い印象です。

 

以 上

データサイエンス、職場のメンタルヘルス、健康経営、公認心理師等に関する、人事担当者様、産業保健スタッフ・心理職の方に有用な情報を配信する株式会社ベターオプションズによる無料不定期メールマガジンはこちらから登録できます。


 

※登録後に「申し訳ありませんが、サーバーエラーが発生したようです。また、後ほどお試しください」というメッセージが表示されることがありますが、登録は完了しておりますのでご安心ください。

Follow me!