ピープルアナリティクスを活用したサービス開発の留意点

はじめに

今回はピープルアナリティクスを活用したサービス開発における留意点について解説したいと思います。ピープルアナリティクスを活用したサービスと言っても幅が広いため、今回は従業員等からデータを収集し、その結果をフィードバックする、あるいは会社単位や組織単位で集計・分析した結果を活用するサーベイを例に挙げたいと思います。

サーベイの開発においては、サーベイの項目や分析方法に注目が行きがちですが、実際のサービス展開にあたっては、目に見えない商品、無形商材であるため、付加価値や仕様を顧客に正確に伝えるのが難しいという点に特に留意することをお勧めします。顧客にサーベイの付加価値や仕様を伝える際に注意すべきポイントは、2点あります。

ベンダーの営業担当者⇒顧客担当者

まず、ベンダーの営業担当者から顧客担当者にサーベイを説明する場面です。ここで、重要なのは営業担当者がしっかりと顧客担当者にサーベイの仕様や付加価値をコミュニケーションできるような態勢を整えるすることです。

往々にして起こりがちな事態としては、サーベイを開発する開発部門はサーベイやデータ分析について営業部門よりもスキルが高く、サーベイの仕様を凝った複雑なものにしてしまい、営業担当者が顧客にサーベイの仕様を適切に伝えるのが難しくなってしまうという事態です。それを回避する1つの方法としては、サービス開発部門で最もサーベイやデータ分析の理解度が低い人を一つの目安として、サービスの内容を過度に高度なものとしないことが重要です。また、サーベイ開発の序盤から営業担当者のフィードバックをもらうこと、営業担当者向けの教育トレーニングを準備するにあたっては、営業担当者の理解度に幅があることを前提として教育トレーニング態勢を整えることも重要です。

営業担当者が顧客とコミュニケーションするにあたっては無形商材にありがちな顧客のカスタマイズ要請への対応も重要です。サーベイは他の無形商材と同じく自由度が高いと思われがちです。そのため、顧客から自社特有のニーズを満たすようにカスタマイズの要請を受けることが往々にしてあります。たとえば、オリジナルの項目を追加して欲しい、独自の分析をして欲しい、回答画面の設計を自社独自の仕様にして欲しい等です。昨今のサーベイ市場には競合も多いため、営業担当者が顧客により訴求しようとカスタマイズを受けがちであるという点もあります。

技術力の高いベンダーであれば、顧客の要望に都度カスタマイズに応じてしまうこともあるかもしれません。ただ、注意したいのは過度に顧客の要望に応じてカスタマイズに応じてしまうと、サーベイのコンセプトがブレてしまうことがあります。また、異なるニーズを持つ顧客の要望をもとにサーベイシステムの改修を重ねることで、幅広いニーズには対応出来る利点はあるものの、複雑化しメンテナンスコストの高いサーベイシステムとなってしまう懸念もあります。

この点への対応としては、マーケットや顧客ニーズに対応してカスタマイズする部分と、サーベイの基本コンセプトに由来しカスタマイズに応じない部分をサービス開発部門がしっかりと整理することが挙げられます。顧客担当者も深い意味はなく要望してみたという場合がありますので、なぜその要望が受け入れられないかをベンダーの営業担当者がサーベイの思想やコンセプトに遡って説明することでカスタマイズが不要になる場面も多いと考えられます。営業担当者にサーベイの基本コンセプト、設計思想をしっかり理解してもらうことが重要です。

顧客担当者⇒顧客の決裁権者

次に営業担当者から提案を受けた顧客から決裁権へのへのコミュニケーションです。この部分でポイントとなるのは、サーベイがあまりにも複雑だったり高度な分析が前提とされるものであった場合には、顧客担当者が決裁権者にうまく説明出来ず予算が取れないといったことが起こり得ます。決裁権者は多忙であることが多いため、顧客担当者が複雑なものを一から説明する時間が取りづらいと言うのもあります。

この点に対処する方法としては、サーベイ開発時に顧客企業の決裁権者の目線も意識してベンダーが開発しておくことです。その際、最先端の学術概念にもとづいたサーベイの場合、そうした概念を決裁権者が理解するのに時間がかかってしまう懸念がありますので、開発部門としては、ひと昔前くらいに流行ったくらいの概念にもとづいたサーベイを開発することをお勧めします。また、忙しい決裁権者に顧客担当者がそのまま渡せるようなサーベイの特徴や価値を端的に説明した資料をベンダーが用意することも効果的と考えられます。

顧客企業の決裁権者は担当者よりもよりビジネス目線、長期目線を持っており、担当者段階では全くなかった角度からの要望を受けることがあります。顧客担当者は、分析結果をもとにした実態の把握が主なニーズであった場合に、決裁権者はサーベイ結果をもとに組織の再構築を考えるとか、人材戦略の練り直しにつなげたいと考えているかもしれません。
サーベイを開発するベンダーとしては、そういった決裁権者目線でのサーベイの活用方法についても予め検討しておき、決裁権者ならではのニーズにもスムーズに応じられるようなサーベイを設計することが望まれます。

以 上

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