長生きしたければ上司を選べ!?

4月に入り、企業等で勤務されている方は、新たに新入社員が自分の部署に配属された方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は上司のリーダーシップ行動が部下の健康、特に、虚血性心疾患の発症に影響するという話について紹介したいと思います。上司のいる方は、自分の上司のリーダーシップ行動があなたの虚血性心疾患に関連していると考えた方が良いかもしれません。虚血性心疾患はご存知の通り心臓に通じる血管が詰まることにより心臓に血が通わなくなることで死に至る可能性も高い病気です。この恐ろしい病気と、あなたの上司の行動が関係がある、と聞いたら、あなたの上司の見る目が変わってくるかもしれません。

今回は、スウェーデンのストックホルムで行われた、自分の上司のリーダーシップ行動の望ましさ将来の虚血性心疾患の関連を分析した研究の1つを紹介したいと思います。

下記URLで全文が読めます。

https://oem.bmj.com/content/66/1/51

この研究は1992年11月から 1995年6月にかけて研究参加者が募集されたコホート研究(※)のデータを用いた研究になっています。対象者を男性に限定し、開始時点で虚血性心疾患が発症している人や65歳以上の人を除いた労働者が対象になっています。

※特定の集団を長期間追跡してさまざまな要因と病気の発症等の関連を分析する研究。1時点の研究よりも、原因と結果の関係に関してより強い結果を得ることが出来る。

労働者による自分の上司のリーダーシップは、労働者が回答した下記の項目を含む10項目からなる設問の回答の合計点を用いて評価されています。下記のような行動をしている上司は一般に望ましい上司と言えると思います。

  • 上司は私に必要な情報を提供してくれる。
  • 私は上司が期待することをはっきり分かっている。
  • 私は自分の責任を果たすための十分な権限を持っている。
  • 上司は私のキャリア開発に十分な時間を割いてくれる
  • 上司は私が良いことをすれば褒めてくれる。

研究のアウトカムとしては、急性心筋梗塞等が主訴と判断された入院、 虚血性心疾患等が原因とされた死亡が用いられています。

労働者自身による上司のリーダーシップ行動の評価と労働者の虚血性心疾患等の発症に関連を検討した経営学、心理学、公衆衛生学の領域にまたがる学際的な研究と言えます。

追跡開始から2003年12月31日までのデータを用いた分析の結果、教育歴、社会階層、収入、喫煙、血圧、肥満、コレステロール値等を調整しても、上司のリーダーシップ行動の得点が高かった労働者ほど、虚血性心疾患の発症が少なかったという結果が得られています。つまり、上司が望ましいリーダーシップ行動をしていることは虚血性心疾患の発症予防につながる可能性があるという結果です。なお、上司のリーダーシップ行動10項目を1項目ずつ用いて関連を分析した場合も、7項目は虚血性心疾患の発症との有意な関連が見られたという結果が得られています。

実は上司の行動がその部下の健康に影響するというのはこの研究に限らず多くの研究から支持される知見であり、研究者の世界ではほぼ定説と言えるものになっています。

虚血性心疾患に代表される生活習慣病の予防と聞いて、まず思い浮かべるのは、食事、運動といった自分の生活習慣であることが多いと思います。しかし、実は、あなたの上司がきちんとリーダーシップ行動を取っている上司かも生活習慣病予防に関連しているというのがポイントです。

健康に長生きしたい人が頑張るべきなのは、食事、運動に加えて就職活動で就職先の社風や組織風土をよく調べることや、問題のあると感じた上司の下から転職しやすいようにスキルアップすることなのかもしれません。

以 上

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