公認心理師試験の出題範囲、実施方法は?
公認心理師試験については「公認心理師カリキュラム等検討委員会」にて報告された報告書(以下、報告書)が参考になります。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000167172.html
まず、公認心理師試験の出題範囲については報告書において以下のように示されています。
1.出題範囲
出題範囲として詳細な科目は定めず、「公認心理師として具有すべき知識及び技能」について出題する。
医師国家試験の出題基準(※1)及びブループリント(※2)に相当するものを作成し、出題に際して準拠する基準とする。
※1 出題基準…国家試験の「妥当な範囲」と「適切なレベル」を項目によって整理したもの。
※2 ブループリント…出題基準の各項目(章、大項目等)の出題割合を示したもの。
したがって、今後公認心理師試験に関する出題基準が公表されることが予想されます。
報告書で触れられている医師国家試験の出題基準は下記のような形で公表されており、公認心理師試験の場合も、大項目、中項目、小項目といった形で整理された出題基準が示されることが予想されます。ちなみに、左上の約8%という数字がブループリントで示された当該分野の出題割合です。
公認心理師試験の実施方法ついては下記の通り示されています。
全問マークシート方式とし、1日間で実施可能な範囲(実施時間として合計 300 分程度を上限)で 150~200 問程度を出題する。
また、試験問題のうち、ケース問題を可能な限り多く出題する。なお、試験の実施時間は、1問当たり1分(ケース問題については同3分)を目安とする。
公認心理師としての基本的姿勢を含めた基本的能力を主題とする問題と、それ以外の問題を設ける。
また、合格基準については下記の通り示されています。
全体の正答率は 60%程度以上を基準とする。基本的能力を主題とする問題の正答率は、試験の実施状況を踏まえ、将来的に基準となる正答率を定める。
ちなみに、公認心理師と隣接する国家資格である厚生労働省管轄の精神保健福祉士試験の合格基準においては、0点の科目がないことを条件として「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者」となっています。ちなみに、出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式とし、出題数は163問、総試験時間数は275分となっています。
公認心理師は文部科学省と厚生労働省の共管資格ですので、隣接領域の厚生労働省管轄の国家資格試験として精神保健福祉士試験が公認心理師試験の設計において参考にされる可能性は高いと考えられます。
なお、精神保健福祉士試験の合格率は年度によって若干の上下はあるものの60%前後で推移しています。
公認心理師試験試験においては、精神保健福祉士や臨床心理士といった隣接資格の過去の試験問題を参考に初年度の問題が作成され、2年目以降は初年度の合格率を参考として、問題の難易度が調整されていくのではないかと考えられます。
心理学研究法、心理統計学分野で出題が予想される問題は?
公認心理師を養成する大学・大学院のカリキュラムの到達目標のうち、心理学研究法、心理統計学に関する内容としては報告書において下記の通り述べられています。
5. 心理学における研究
5-1. 心理学における実証的研究法について概説できる。
5-2. 心理学で用いられる統計手法について概説できる。
5-3. 統計に関する基礎的な内容について理解し、データを用いて実証的に考えることができる。6. 心理学に関する実験
6-1. 実験の計画を立てることができる。
6-2. 実験データの収集及び処理を適切に行うことができる。
6-3. 実験の結果について適切な解釈ができ、報告書を作成することができる。
したがって、統計学に関する基礎的な理解度や心理学分野の研究法や統計手法の特徴についての理解度、実験計画の立て方、実験データの分析や解釈についての理解度が試される問題の出題が予想されます。
先述したように、公認心理師試験ではケース問題を除くと1問当たり1分が目安とされていますので、解答に複雑な数値計算を必要とする問題よりも、基礎的な概念を正しく理解できているかが問われる出題内容になるのではないかと考えられます。
※2018年3月9日追記
日本心理研修センターより出題基準(ブループリントが公表)されました。
http://shinri-kenshu.jp/topics/20180308_3678.html
研究法に相当する部分は下記の通りです。
実験法に相当する部分は下記の通りです。
出題基準に下記のように言及されていることにも注意が必要です(太字は弊社による)。
(3) 小項目は、中項目の内容に属する概念及び用語の例を具体的に記載し、可能な限り出題テーマを明確化している。他方、出題は、この出題基準に記載された事項に限定されるものではなく、法律、政省令等に規定される事項、厚生労働白書などの公刊物に記載されている事項などからも出題される
従って小項目のキーワード以外からも出題の可能性がありますので、キーワードは完全に理解した上で、キーワード以外の用語や概念についても可能な限り理解することが望まれます。
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