公認心理師試験対策のための独学に向いた心理統計学の教科書

現在弊社の心理統計学のEラーニング講座へのお問い合わせを頂く場合がございますが、只今鋭意開発中であり、今後公表予定の出題基準を確認の上ご案内出来ればと考えております。お待たせして申し訳ございません。

今回は、年末年始にまとまった時間が取れるので、公認心理師試験対策として心理統計学を復習したいという方向けに書籍を紹介します。

公認心理師試験対策を想定した心理統計学の書籍の選定のポイントとしては、①出題者の著書である、または出題者が参考にする可能性が高い、②内容が平易で独学で理解しやすい、③出題範囲をカバーしている、といったところがあると思います。

①出題者の著書または出題者が参考にする書籍

公認心理師試験の出題を担当することが予想される心理統計学の研究者は実は日本では非常にマイノリティです。心理統計学を専門分野として専攻し、著書等の実績がある心理統計学の研究者は大御所から若手まで含めても約20名程度に限定されます。また、心理統計学の研究者の多くが東京大学教育学部・教育学研究科出身の研究者またはそれらの研究者の教え子で占められているのが実情(※)です。したがって、まずはそれらの心理統計学の研究者の著書を押さえておくことが試験対策上重要と考えられます。

※東京大学においては理科系から教育心理学専攻への進学が可能であることが背景にあると考えられます。理科系から教育心理学専攻に進学する学生は毎年少数派であるのに対して、心理統計学の研究者は理科系から教育心理学専攻に進学した経歴の方が多数派です。

②独学に向く向く教科書

日本の大学の教科書は、講義を補足する資料としての位置づけであることや、講義で教員による補足が行われることが前提となっているため、内容が非常にコンパクトであるのが特徴です。心理統計学の教科書であれば、数式が多かったり、説明が端折られていたりすることが往々にしてあります。独学中のつまずきを避けるためにも、薄い教科書が良いと考えるではなく、比較的文章量が多く、丁寧な説明がなされている書籍を選択するのが重要です。ちなみに、米国の大学の教科書は1000頁を超えるものも珍しくはありません。前者に比べて後者の扱っている内容が多いかと言うとそうではなく、文章での説明が事細かい、本文中で理解を促進するために図や表がふんだんに使われている、練習問題と解答例が豊富に付いているといった特徴があるためです。

③出題範囲をカバーしている

冒頭の通り、2017年12月16日時点では出題基準が公表されておりませんが、大学学部の心理統計学の講義で一般的に扱われている内容と大きくかけ離れた内容となることは考えづらいです。したがって、多くの大学の心理統計学の講義で教科書や参考書として指定されることの多い書籍で勉強するのが良いと考えられます。

①、②、③を踏まえ、弊社としてお勧めしますのは、内容を一読して数式による説明に抵抗がないのであれば、、南風原朝和著「心理統計学の基礎―統合的理解のために」、数式に抵抗が強いのであれば、山田剛史・村井潤一郎著「よくわかる心理統計」です。

「心理統計学の基礎―統合的理解のために」については、心理統計学の基本テキストとして全国の大学で使用され版を重ねていることや、著者の南風原教授(※)が心理統計学の総本山である東京大学教育学研究科の心理統計学専攻の教授であることから、出題者が誰であっても参考にする可能性が非常に高く、扱っている範囲の網羅性も高いことから、内容の理解に問題ないのであれば第一選択と考えられます。なるべく数式展開を避けて文章で丁寧に説明されている部分が多いのも独学者には有り難い点です。

※弊社代表取締役も大学院時代に南風原教授の輪読演習を履修しましたが、非常に説明が上手い先生です。

ただし、文章での説明だと誤解を招きやすかったり冗長になる部分を数式展開で説明していたり、視覚的な理解を可能にするためベクトルによる説明が行われていたり、効果量など最近の心理統計では重要になりつつあるがやや高度な内容にも頁数が割かれているのが特徴です。高校時代から数学が大の苦手だったという方や学生時代に心理統計が苦手だったという方にはハードルが高いと思われます。講義で教員が適宜補足する、質問を受け付けるという態勢で用いることで最高のパフォーマンスを発揮する教科書だと言えます。

「よくわかる心理統計」については、本文中の数式も少な目で数値計算例も多いことから、独学で試験対策される方には非常に良い教科書だと思います。分かりにくい部分ややや発展的な内容について対話式のコラムという形で扱われているのも良いと思います。著書のお二人は、南風原教授の教え子で、南風原教授にコメントを全面的に頂きながら執筆されたことが同書中で言及されていますので、内容の信頼性の意味でも安心だと言えます。ただし、公認心理師試験の心理統計の範囲で試験範囲に含まれる可能性がかなり高い因子分析、範囲となる可能性がやや高い共分散構造分析については、同書では触れられていません。因子分析、共分散構造分析が出題範囲には含まれる場合は、「心理統計学の基礎―統合的理解のために」の因子分析、共分散構造分析の部分が比較的少ない数式で説明がされていますので、当該部分をご覧いただくと良いと思います。

両書に共通することですが、理解の確認のための練習問題は用意されておりません。「心理統計学の基礎―統合的理解のために」の練習問題としての位置づけで出版されている「心理統計学ワークブック―理解の確認と深化のため」という南風原教授による書籍が存在しますが、公認心理師試験対策としては、分量が多く内容も高度で若干オーバースペックとの印象を受けました。既に同書をお持ちの方であれば問題を選択的に解いて理解を確認するといった使い方が良いように思われます。

なお、弊社の心理統計学Eラーニング講座は、今回取り上げた2冊を含めて10冊以上の教科書を渉猟し、試験範囲を網羅の上、図や表による説明で極力数式による表現を避け、理解を確実にするための練習問題つきの内容として提供させて頂く予定です。

以 上

 

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