ストレスチェック実施者への公認心理師の追加が検討開始

厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会安全衛生分科会に対して、公認心理師および歯科医師をストレスチェックの実施者に追加するための労働安全衛生規則(厚生労働省令)の改正案が諮問されました。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000207508.pdf

現在、労働安全衛生法にもとづくストレスチェックを実施できる者は、労働安全衛生規則によって、「医師、保健師、研修を受けた精神保健福祉士または看護師」に限定されております。労働政策審議会安全衛生分科会にて、上記改正案に妥当との答申が出れば、精神保健福祉士、看護師と同様に公認心理師も一定の研修(※1)を受けることで、ストレスチェックの実施者としてストレスチェック制度に直接的に参画することが期待されます。

ストレスチェック制度においては、高ストレス者に対する医師の面接指導の要否の判断や、面接指導の申し出勧奨は実施者の役割とされています。たとえば、産業医が実施代表者(※2)、企業内相談室の公認心理師が共同実施者(※2)となった場合、公認心理師が面談結果等を加味して、実施代表者である産業医と相談して医師の面接指導の要否を判断するといった形が想定されます。また、特に医師(特に産業医)による面接指導が必要だと判断する高ストレス者には面接指導の申し出を勧奨し、心理職によるカウンセリングが適している高ストレス者には別途その旨案内しカウンセリングを実施するといった役割を果たすことが考えられます。

いわゆる集団分析の実施も実施者の役割とされています。企業内相談室の公認心理師が実施者となった場合には、日頃の面談内容等定性的な情報を加えた分析を行うことにより、より職場環境改善につながる集団分析を実施できる可能性があります。

本改正案にもとづく労働安全衛生規則の施行期日は2018年6月とされています。今年度の公認心理師試験において、ストレスチェック制度の実施者を問う問題が出題される可能性が高いですが、試験時にはいつ時点の法令等を根拠に回答するのかという注意書きをよく確認して回答する必要があります。

※1 ストレスチェック制度マニュアルをベースにした半日程度の研修で、内容は労働者の健康管理、事業場におけるメンタルヘルス対策等が扱われます(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000181836.pdf)なお、精神保健福祉士および看護師に対して、経過措置として3年以上労働者の健康管理等の業務に従事した経験を有する看護師又は精神保健福祉士は研修が免除されたことから、今回も同様の免除規定が用意される可能性があります。

※2 ストレスチェック制度において実施者が複数存在する場合の実施者は共同実施者と呼ばれ、その代表者は実施代表者と呼ばれます。実務上は、外部機関にストレスチェック実施を委託している場合に外部機関の有資格者と社内の産業医が共同実施者になるケース、医療職が複数人所属する大規模事業場において、当該事業場の産業医と保健師、看護師等が共同実施者となるケースがあります。

以 上

 

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