HR・ピープルアナリティクスの参考書籍の紹介

先日9/12に東京都銀座にて弊社創業2周年記念セミナーをとして「HR・ピープルアナリティクス入門講座」を開催させて頂きました。その際に「HR・ピープルアナリティクスの参考書籍を教えてほしい」というご質問を頂きましたので、こちらでもご紹介いたします。

昨今HR・ピープルアナリティクスを銘打った書籍が和書で出版、翻訳されることが増えました。しかし、人件費や年齢構成等を対象とした統計学や機械学習を用いない人事の定量分析の書籍、事例やツールの紹介を中心とした書籍が多いと感じております。

現状では、RPythonをといったソフトウェアを用いて、人事部門の課題解決のために構造の説明や予測を統計学や機械学習を用いて行うための具体的なノウハウやRPythonのコード(実行するためのプログラム)が掲載された和書籍はほぼ皆無と言えます。 

そのため、弊社としては、HR・ピープルアナリティクスに特化した書籍が和書で存在しないため、下記のような書籍で必要と思われる部分を必要に応じて参照することをお勧めしております。

 <データ分析の考え方>

①Foster Provost (著), Tom Fawcett (著), 竹田 正和(監訳) (翻訳)「戦略的データサイエンス入門 ―ビジネスに活かすコンセプトとテクニック」

→ビジネスでデータサイエンスをどう使って行くかについての書籍です。データ分析の考え方の参考になります。

②酒巻 隆治 (著), 里 洋平 (著)「ビジネス活用事例で学ぶ データサイエンス入門」

→ビジネスでデータサイエンスをどう使って行くかについての書籍です。①よりも扱っている範囲が狭いのですが、Rを用いた分析のコードやアウトプットが掲載されており具体度が高くなります。

③「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 中室牧子、 津川友介

→データから因果関係を推論する考え方について書かれています。HR・ピープルアナリティクスの中でも特に研修や施策の効果検証をしたい方には参考になる考え方が書かれています。

<統計学・機械学習の理論>

④アミール・D・アクゼル (著)「ビジネス統計学【上】【下】」

→MBAの学生向けの統計学の教科書なので、数式よりもグラフやエクセルの利用例で説明されています。

⑤倉田 博史  (著), 星野 崇宏  (著)「入門統計解析」

→いわゆる統計学の教科書です。統計学の教科書の中では基礎的で平易な部類ですが、数式中心のため、大学受験レベルの数学の記憶がある方向けです。

⑥平井 有三(著),「はじめてのパターン認識」

→大学教養レベルの数学が分かっている方が機械学習を短期間で学ぶには良いと思います。理工系の方向け書籍です。

<Rを用いたデータ分析>

⑦今井 耕介 (著), 粕谷 祐子 (翻訳), 「原田 勝孝 (翻訳), 久保 浩樹 (翻訳)「社会科学のためのデータ分析入門(上) (下)」

→統計学を専門としないアメリカの社会科学専攻の学生向けの教科書で、実際にRでデータを分析しながら学ぶコンセプトの本です。下巻では研究者の世界ではよく用いられるが実務での応用は珍しい、かなり発展的な手法もカバーされています。著者が政治学者のため選挙などのデータが政治学関連の多くなっているのが特徴です。

⑧酒巻 隆治 (著), 里 洋平  (著), 市川 太祐 (著), 福島 真太朗 (著),「データサイエンティスト養成読本 R活用編」

→統計ソフトウェアのRのコード付きで、Rを用いた統計学や機械学習の応用方法についての本です。具体例が多く参考になります。

<Pythonを用いたデータ分析>

⑨東京大学のデータサイエンティスト育成講座 塚本 邦尊, 山田 典一他

→東京大学の講座をもとに執筆された本です。Pythonを用いた基礎的な集計から高度な手法までカバーされています。

<R/Pythonの解説書>

数多く出版されているため、中身をご覧いただいて理解しやすいものを購入頂くのが良いと思います。HR・ピープルアナリティクスのにおいては、人事データ等のCSVファイルを対象として分析することが一般的ですので、CSVファイルの読み込み手順が一番最初に書いてある書籍(あるいは付録に書いてある書籍)を選択するのをお勧めします。

なお、RやPythonのインストール方法はネットでの情報が充実しておりますので、個人的には、⑦~⑨のような書籍でデータ分析と並行する形でRやPythonの操作方法を学び、辞書的に<R/Pythonの解説書>で調べるというのが最も効率が良いと思います。

<データ処理>

⑩本橋 智光  (著)「前処理大全[データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック]」

→SQL/R/Pythonによるデータ加工のコードがひたすら掲載されています。社内の人事データを実際に手を動かして分析しようと考える方向けの書籍です。たとえば、従業員の年齢を計算する場合に、20190918や2019/09/18といった日付データを処理する必要がありますが、そのような場合の効率的な処理方法が書かれています。内容は実務家目線でマニアックですので初心者にはお勧めしませんが、実際に人事データを分析するHR・ピープルアナリティクス人材志向の方は辞書的に参照することをお薦めします。

<組織行動学・心理学の理論>

⑪スティーブン P.ロビンス、 髙木 晴夫「【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ」

⑫外島 裕、 田中 堅一郎「産業・組織心理学エッセンシャルズ【第4版】」

→いずれも組織場面での人間行動に関する有名な理論や学術的な知見を解説した書籍です。HR・ピープルアナリティクスにおいては、データ数が少ないために、大量のデータを投入して力任せに分析技術で知見を得るといった方法よりも、人間行動に関する学術的な知見や理論から得られた仮説をもとに分析する方が効率が良い場面が多いです。特に、理工系出身の方等の、人間行動や組織行動のバックグラウンドのない方が勉強すると、HR・ピープルアナリティクスにおいて、効率が上がると思います。

<HR・ピープルアナリティクスに関する法令等>

⑬HRテクノロジーで人事が変わる 労務行政研究所

→同書ではHRテックやツールや企業事例の紹介が多いのですが、HR・ピープルアナリティクスにおいても重要な労働法令や個人情報保護法への対応等の法務面での解説も充実しており参考になります。

 

以 上

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