経済産業省より「健康投資管理会計ガイドライン」が公開されました
6/12に経済産業省より、これまで検討が進められていた「健康投資管理会計ガイドライン」が公開されました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612001/20200612001.html
上記サイトにはガイドライン本体、解説資料が公開されております。
特にガイドライン本体は内容が膨大ですので、健康経営に有用と思われる点について抜粋して解説したいと思います。
まず、「健康投資管理会計ガイドライン概要説明資料」が全体像を掴む上で参考になります。
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612001/20200612001-1.pdf
同資料中にもありますが、本ガイドラインの対象は「健康経営に取り組み始めていて、効果分析や評価方法を模索している企業」が想定されています。
したがって、同ガイドラインは、第一には、健康経営を目的とした取り組みを開始してから数年以上経過している企業、あるいはそうした企業に健康経営をアドバイスするコンサルティング会社やシステムベンダーの参考になると思われます。また、大企業等リソースのある企業でこれから健康経営を本格化させようと検討している場合にも役立つと考えられます。
弊社として、本ガイドライン内で役立つと考えているのは「健康経営」の全体像です。「健康投資管理会計ガイドライン」の13ページの[解説20」健康経営と経営課題のつながりの例は参考になると思います。
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612001/20200612001-2.pdf
健康投資を進めることで、従業員等の意識変容・行動変容につながり、健康関連の目標指標が改善することで、最終的には、健康経営で解決したい課題、すなわち個人のパフォーマンスの向上へのつながる経路が整理されて示されています。
弊社が健康経営の取組を支援させて頂いた経験からも、熱心に健康経営に取り組む余り、近視眼的になってしまい個々の取り組みの位置づけが分からなくなっている企業も存在します。このような事態を防ぐ一手として上記の図を参考に健康経営の全体図を描き、健康経営の所管部署で共通認識とすることが考えられます。加えて、経営層、従業員にも周知して理解してもらうことで、企業全体としても健康経営の全体像を失わず、全社の足並みを揃えて健康経営を進めていくことが出来ると考えられます。
次に参考になるのが、健康経営の効果を示すKPIが整理されている点です。
上記の全体像にもとづいて、健康経営を進めて、その投資対効果を示すには、各ステップでの取り組みや結果を定量的に示してモニタリングする必要があります。その際に、健康経営のインプットである健康経営への投資は比較的可視化しやすいのですが、効果を可視化するための適切なKPIが見つからないという企業が多い印象です。経営層から「健康経営に対する取り組みもKPIを設定せよ」と言われて困っている人事部門の声もよく聞きます。その際に、本ガイドラインの21ページ以降の解説が参考になります。
特に、25ページの、健康投資の例と指標例、26ページの標を測定する際の調査票や質問項目の具体例が示されており、参考になります。
これらを活用して自社の健康経営への投資、健康経営の効果を可視化することによって、自社の取り組みのどこに問題があるのかを可視化して確認することが出来ます。
本ガイドラインにおいては、その他にも健康経営に関する費用を管理会計的にどのように認識していくかが緻密に検討されていますが、この部分はアドバンストな内容と言えます。弊社の経験からも、企業の事業投資と異なり、健康経営投資に、そこまでの厳密性を求める経営層は少ないと考えております。
現状では、健康経営の効果がKPIで計測、モニタリングされている企業が少ないため、先述の健康経営効果の評価のためのKPIを設定したり、健康経営施策の導入を具申する際にKPIとセットで具申するだけでも説得力が高まると考えられます。たとえば、「本施策には●●をKPIとして設定し、3年後の目標値は〇〇として、モニタリングと継続判断を行います」という説明ができるだけでも、経営層からの評価が高いと考えられます。
ここまで、6/12に経済産業省より公開された「健康投資管理会計ガイドライン」のうち、健康経営に参考になるポイントを紹介しました。
先述した通り、先進的な内容を含むため、すべてを参考にすることは難しいと思われますが、上記のポイントを参考に健康経営をさらに進化させる材料として頂けますと幸甚です。
以 上
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