コロナで生活習慣はどう変わったか?

はじめに

日本においては、緊急事態宣言が解除され、徐々に経済社会活動の再開が図られています。一方で、海外諸国においては、いまだ感染者数が増加し、行動制限等の措置が取られている国も存在します。

今回は新型コロナウイルス(COVID-19)への対応措置として取られた行動制限等の措置が人々の運動や食事、睡眠、アルコール摂取等の生活習慣にどのような影響を及ぼしたのか、さまざまな企業や調査機関が発表した調査結果をもとに見てみます。

日本における運動と食事への影響

まず緊急事態宣言にもとづく「自粛要請」という国際的には比較的緩い行動制限措置が取られた日本においてはどうだったのでしょうか?

これについては、株式会社リンクアンドコミュニケーションが公表した調査結果が参考になります。同社は、3回に分けて同社が運営する企業向け健康経営支援アプリのユーザーを対象に調査を実施しています。

まず、自粛期間中の運動への影響をユーザーの歩数の変化からみた結果を紹介します。

https://www.linkncom.co.jp/news/press/264/

同社の調査結果によれば、2月1週目を基準としてユーザー(2月以前に1日平均5,000歩以上のユーザーに限定)の歩数の変化を見ると、自粛期間前から徐々に歩数が減少し、2月下旬から3月にかけては約1000歩減少していることが分かります。

なお、同社の調査によって食事メニューの変化に関しても興味深い結果が得られています。

https://www.linkncom.co.jp/news/press/310/

同社の健康アプリから得られたユーザーの食事メニューを分析した結果、各メニューの1月の喫食率を100%としたときの、2月以降の変化を分析した結果、1月に比べて4月に10%以上増加したメニューは、炊き込みごはん(39%増)、焼きそば(36%増)、ピザ(25%増)、チャーハン(18%増)、お好み焼き・たこ焼き(17%増)の5メニュー、となっていたようです。

同社の考察にもあるように、在宅勤務で自宅に家族が同居することが増えたため、家族一緒に食べられるメニューが多いことが分かります。

また、保存が可能で、かつ大勢で食べられるmいわゆる「粉もの」が増えていることからは、なるべく買い物のための外出頻度を減らすことが意識されていた可能性もあります。

なお、参考までに視聴率調査会社の株式会社ビデオリサーチによる新型コロナウイルス対応に伴うテレビ視聴率の変化の調査結果を見てみます。

https://www.videor.co.jp/press/2020/200616.html

同社によれば、「3/30以降前年を大きく上回る状況が続いており、4/17に緊急事態宣言が全国に拡大された後も、4月下旬からゴールデンウィークにかけて、前年を大きく上回る状況が続いた」となっています。また、同社によれば、地区別に分析した結果、関東地区で前年比での視聴量の増加が大きかったことに対して、感染者数が多かったことや外出自粛要請の影響を挙げています。

これらの結果を総合すると、日本、特に感染者数が多かった地域においては、多くの方が外出自粛制限に従って、不要不急の外出を避けて自宅内で過ごしていたおり、その結果、運動数の減少や食事の変化に反映されたと考えること出来るでしょう。

海外における睡眠とアルコール摂取への影響

では、日本よりも行動制限が厳しかった世界の状況はどのようになっているのでしょうか?

睡眠計測デバイスを販売しているFitbit社は、米国における3月第三週の州別の睡眠時間の変化を年代別に分析しています。

結果を見ると、65歳以上を除くと睡眠時間が伸びていることが分かったとのことです。また、この結果はヨーロッパの都市部の傾向と一致していたことが分かったようです。

次に、ガーディアン紙による記事からアルコール摂取への影響についてみてみましょう。

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2020/apr/07/drinking-in-coronavirus-isolation-experts-warn-australians-to-monitor-their-intake

同紙は、オーストラリアにおいて、アルコール飲料の販売が3月に前年対比で増えていることを報じています。その中でも触れられている、オーストラリアの銀行による調査では、3月第三週において、レストランやパブの閉鎖による減少はあるものの酒類の販売が前年対比で34%増加したことが報じられています。

新型コロナウイルス対応で外出制限がされる中で、食べて飲んで寝るといったパターンが生活習慣の要素となっていた可能性があります。

終わりに

今回は日本と海外における、新型コロナウイルス対応に伴う生活習慣の変化に関する調査結果を紹介しました。紹介した結果にあるように、程度の差はあるものの、外出自粛・制限といった感染拡大防止のための自粛要請や行動制限措置が人々の運動習慣や食生活に一定の影響を及ぼしたことは間違いないと思われます。

日本においては緊急事態宣言が解除され、感染拡大に留意しつつも徐々に経済社会生活を再開する動きとなっていますが、その一環としてテレワークや在宅学習が推進されています。その結果、運動量が減少してしまう懸念があります。通勤や通学で運動しない分、家の周りを一定時間散歩することを新たな習慣にする等、生活習慣の点検、見直しを行ってもよいかもしれません。

以 上

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