先進企業の従業員エンゲージメント開示事例②

はじめに

人的資本開示への注目度がますます高まりつつありますが、今回も従業員エンゲージメントの開示事例について参考事例を見てみたいと思います。

<執筆者紹介>宮中 大介。はたらく人の健康づくりの研究者、株式会社ベターオプションズ代表取締役。行動科学とデータサイエンスを活用した人事・健康経営コンサルティング、メンタルヘルス関連サービスの開発支援に従事。大学にてワーク・エンゲイジメント、ウェルビーイングに関する研究教育にも携わっている。MPH(公衆衛生学修士)、慶應義塾大学総合政策学部特任助教、日本カスタマ―ハラスメント対応協会顧問、東京大学大学院医学系研究科(公共健康医学専攻)修了

住友ファーマ株式会社

エンゲージメントスコアに加えて、エンゲージメントサーベイのベンダー名も開示されています。現状では各社のエンゲージメントの定義はさまざまであり、利用しているサーベイのベンダーもさまざまであると考えられることから、このようにベンダー名まで開示されることは投資家が他社と比較する際の参考になります。また、同社の離職率も併記されています。

住友ファーマ株式会社 統合報告書2022(59頁)

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/ir/library/annual/pdf/2022/19.pdf

株式会社ファンケル

2017年度からの毎年の従業員満足度調査の結果が開示されています。同社では役員報酬のインセンティブとしてこの従業員満足度調査結果が活用されていることも記載されています。役員報酬のインセンティブとしては財務指標が用いられることが一般的ですが、同社においては非財務指標であるエンゲージメントを採用していることから、企業として従業員エンゲージメントを非常に重視していることが伺えます。

ファンケルレポ―ト2022(41頁)

https://www.fancl.jp/ir/library/annual/index.html

株式会社北國フィナンシャルホールディングス

北國フィナンシャルホールディングスでは、社員のエンゲージメントを「現在の職場で働くことを、親しい友人や知人にどの程度お薦めしたいと思いますか?」という職場に対する推奨度(eNPS)として測定している点が特徴的です。結果を見ると、推奨する回答よりも推奨しない回答が多い結果となっています。結果の良し悪しに関わらず情報を開示するという姿勢が伺えます。

エンゲージメントサーベイを実施していても結果が悪い、あるいは業界他社よりも高い自信がない企業は開示をしづらいかもしれません。しかし、エンゲージメントの定義や利用しているエンゲージメントサーベイが各社各様であることを考えると他社との比較は難しいため、そのような悩みは杞憂と考えられます。むしろ、積極的に開示することで、今後人的資本への投資を進める意思が強いということが投資家に対するシグナルとなる可能性もあります。

北國フィナンシャルホールディングス 2022統合報告書(70頁)

https://www.hfhd.co.jp/ir/disclosure/pdf/report2022.pdf

以 上

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