「マインドフルネス」を食事で実践する——マインドフルイーティングのすすめ

<執筆者紹介>

宮中 大介。はたらく人の健康づくりの研究者、株式会社ベターオプションズ代表取締役。行動科学とデータサイエンスを活用した人事・健康経営コンサルティング、メンタルヘルス関連サービスの開発支援に従事。大学にてワーク・エンゲイジメント、ウェルビーイングに関する研究教育にも携わっている。MPH(公衆衛生学修士)、慶應義塾大学総合政策学部特任助教、日本カスタマ―ハラスメント対応協会顧問、東京大学大学院医学系研究科(公共健康医学専攻)修了。

「マインドフルネス」を食事で実践する——マインドフルイーティングのすすめ

マインドフルネスを日常生活に取り入れたいと考えている方には、「マインドフルイーティング」がおすすめです。これは、食事の一挙手一投足に意識を向け、食べることに完全に集中する実践法です。

多くの人は、テレビを見ながら、スマホを操作しながら、あるいは考え事をしながら、無意識のうちに食事をしています。そのため、改めて「食べる」という行為に集中するのは意外と難しいものです。もし、うっかり唇を噛んでしまったり、食事の味をよく覚えていなかったりするのであれば、それはマインドフルな食事ができていない証拠かもしれません。

朝食セットのイラスト「パン・スクランブルエッグ・ウインナー・サラダ・スープ・コーヒー」

マインドフルイーティングの実践方法

具体的な方法はシンプルですが、奥深いものです。

まず、食べ物を口に運ぶ前に、まるで宇宙人や赤ちゃんが初めて地球の食べ物を観察するような気持ちで、目の前の料理をじっくりと見つめてみましょう。たとえば、人参の切れ端をひとつ取って観察してみると、同じ「人参」という名前がついていても、それぞれ微妙に異なる形をしていることに気づくはずです。表面に小さな穴が開いていたり、色に濃淡があったりと、今まで気づかなかった細部が見えてくるかもしれません。

次に、食べ物を口に入れたら、すぐに飲み込まずにゆっくり噛みましょう。焦らず、味の変化を感じ取ることが大切です。人参なら、噛むごとにじわじわと甘みが増してくるはずです。しかし、普段は急いで食べるせいで、その変化に気づかないことも多いのではないでしょうか。

ほかの食材についても、一つひとつの形、色、香り、食感を丁寧に確かめながら食べてみてください。まるで宇宙人や赤ちゃんが初めて食べ物を口にするような感覚で、驚きや発見を楽しむことができます。

マインドフルイーティングがもたらす変化

この実践を続けることで、「食べる」という行為を意識的にコントロールする習慣が身につきます。それによって、食事の満足感が高まり、暴飲暴食を防ぐ効果も期待できるでしょう。さらに、味覚が研ぎ澄まされることで、普段の食事がより豊かに感じられるようになるかもしれません。

マインドフルネスは、難しい修行ではなく、日常の中で少し意識を変えるだけで実践できるものです。まずは、今日の食事から「マインドフルイーティング」を試してみてはいかがでしょうか。たった一口でも、いつもとは違う発見があるかもしれません。

以 上

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