御社はぶつかっていませんか?カスハラ対応2つの「壁」

はじめに

現在、事業者にカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策を義務付ける法案整備が進んでおり、業界ごとの対応ガイドラインも公表されています。これに伴い、多くの企業や自治体でカスハラ対策が急ピッチで進められています。しかし、対策の多くが「方針策定」と「マニュアル作成」に留まっており、現場の従業員が実際に適切な対応を取れる環境を整えられていないケースが目立ちます。本記事では、企業が直面する2つの壁—「理解の壁」と「実践の壁」—を乗り越え、実効性のあるカスハラ対策を実現する方法を解説します。

1. ガイドラインを従業員に理解してもらう壁

カスハラ対策のためにガイドラインを作成する企業は増えていますが、これらのガイドラインは往々にして膨大な文章で構成されており、現場の従業員が全てを読み、理解し、実践するのは難しいのが実情です。

この壁を乗り越えるためには、従業員が最低限知るべき考え方をコンパクトにまとめることが必要です。具体的には、以下の方法が効果的です。

  • ハンドブックの作成:要点をまとめた簡潔なハンドブックを配布し、どのような行為がカスハラに該当し、どのような対応が適切かを明示する。
  • 動画教材の活用:文章では伝わりづらい内容を、実際の事例を交えた動画教材で分かりやすく解説する。
  • 自社の事例を盛り込む:実際に社内で発生したカスハラ事例と、それに対する適切な対応を紹介し、従業員がリアルなケースを想定できるようにする。

2. 実践の壁

ガイドラインを理解しても、実際の顧客対応の場面で適切な判断と行動ができるとは限りません。知識として理解していることと、現場で実践できることの間には大きなギャップが存在します。

このギャップを埋めるためには、実践的なトレーニングが欠かせません。特に、以下のような研修プログラムを取り入れると効果的です。

  • ロールプレイ研修の実施:カスハラを行う顧客役と対応する従業員役を交互に演じることで、具体的な対応方法を身につける。
  • 競技大会形式の導入:カスハラ対応コンテストを開催し、適切な対応ができたケースを評価・表彰することで、楽しみながらスキルを磨く。
  • 定期的な振り返りと改善:実際の対応事例を社内で共有し、どの対応が効果的だったのかを振り返る仕組みを作る。

まとめ

カスハラ対策は、ガイドラインの作成だけでは不十分です。従業員が実際の場面で適切な対応を取れるようにするためには、分かりやすい資料や動画での説明、実践的な研修の実施が不可欠です。企業は「仏作って魂入れず」にならないよう、理解と実践の両面から対策を講じることが求められています。

カスハラ対策を実効性のあるものにするため、ぜひ今回紹介した方法を参考にしてみてください。

以 上

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