新任管理職研修、形だけで終わらせていませんか?— 実践的なネットワーク形成のすすめ
執筆者
宮中 大介。はたらく人の健康づくりの研究者、株式会社ベターオプションズ代表取締役。行動科学とデータサイエンスを活用した人事・健康経営コンサルティング、メンタルヘルス関連サービスの開発支援に従事。大学にてワーク・エンゲイジメント、ウェルビーイングに関する研究教育にも携わっている。MPH(公衆衛生学修士)、慶應義塾大学総合政策学部特任助教、日本カスタマ―ハラスメント対応協会顧問、東京大学大学院医学系研究科(公共健康医学専攻)修了。
はじめに
新年度を迎え、多くの企業で新たに昇任した管理職向けの研修が実施される時期となりました。管理職研修というと「リーダーシップ」や「コンプライアンス」「ハラスメント対策」など、知識をインプットする内容に重点が置かれがちですが、本当に効果的な研修とは、それだけではありません。
管理職研修の成功のカギは「ネットワーク形成」
管理職は、自部署をまとめるだけでなく、他部署との連携をスムーズに進める役割も担います。しかし、業務の中で他部署の管理職と話す機会は、会議などの改まった場面に限られることが多く、気軽に相談できる関係性が築きにくいのが実情です。
そこで、管理職研修の中に「ワークショップ」や「ディスカッション」を多く取り入れ、自然な形でコミュニケーションを生む仕組みを設けることが重要です。複数回の「ワークショップ」や「ディスカッション」を設定し、メンバーを入れ替えてなるべく多くの管理職同士が交流できるようにすることがポイントです。参加した管理職が普段接点の少ない他部署の管理職と対話を重ねることで、業務を超えたつながりを生み、後々の業務の円滑化にもつながります。
研修の効果を最大化する時間設定の工夫
さらに、研修の実施時間もポイントです。たとえば、金曜日の16時~18時に研修を設定し、その後に懇親会をセットで企画することで、より深いネットワーク形成を促すことができます。特に、これまで業務上あまり接点のなかった管理職同士がリラックスした雰囲気の中で話すことで、関係性を築きやすくなります。
中途入社の管理職にこそ、社内ネットワークが必要
近年では、かつてのように生え抜きの社員が管理職に昇進するだけでなく、中途採用の管理職が増えている企業も多くなっています。こうした中途入社の管理職は、社内の人脈が弱く、困ったときに相談できる相手が少ないという課題を抱えがちです。そのため、企業としても、彼らがスムーズに組織に馴染み、成果を出しやすくなるよう、研修の場でネットワークを構築する機会を提供することが特に重要です。
以 上