高ストレス者は2割の部署に集中?ストレスチェック集団分析で見える“2・8の法則”
今月はストレスチェックを実施し、その結果をもとに集団分析を行って職場環境改善のヒントを得ようとしている企業担当者も多いのではないでしょうか。今回は、そうした集団分析の際に参考となる法則を紹介します。それが「高ストレス者にも当てはまる2・8の法則」です。
この法則とは、「高ストレス者の約8割は、全体の2割の部署から生じている」というものです。これは、私がこれまで多数の企業でストレスチェック結果を分析してきた中で、経験的に導き出した傾向です。
この現象を検証するには、まず部署ごとに高ストレス者数を集計します。そして、その人数が多い順に部署を並べ替えてみてください。すると、多くの企業で、高ストレス者全体の約8割が、上位2割程度の部署に集中していることがわかります。まさに「パレートの法則(80:20の法則)」が職場のストレスにも当てはまるのです。

この法則から導かれる示唆は明確です。ストレスチェック後の職場環境改善では、すべての部署に均等に施策を行うのではなく、「高ストレス者が多い部署を特定し、そこに重点的にリソースを投入する」ことが重要になります。限られた時間と人的資源を、効果が最も大きい場所に集中させるわけです。
具体的な施策例として、以下のような対応が考えられます。
高ストレス者の多い上位2割の部署では:
- 管理職に対する人事担当者・保健師による個別面談を実施
- 希望する従業員への保健師面談の機会を設ける
- 産業医による面接指導の勧奨を再度行う
その他の部署では:
- 管理職向けにメンタルヘルスケアのEラーニングを受講させる
- 外部相談窓口(EAP)などの利用を従業員に案内する
企業においては、人事部門だけでなく、産業医や保健師といった事業場内のリソースも限られています。だからこそ、ストレスチェックの集団分析結果を活用し、部署ごとのストレス度をもとに対策の優先度をランク付けし、その重要度に応じて資源を適切に配分することが求められます。
限られたリソースを最大限に生かすために——。
「2・8の法則」は、ストレスチェックを“実施するだけで終わらせない”ための、実践的な視点を与えてくれます。
まとめ
- ストレスチェック後の改善施策は、全体よりも「高ストレス者が多い部署」に集中するのが効果的です。
- 集団分析を行えば、高ストレス者の約8割が2割の部署に偏っていることが多く見えてきます。
- 限られた産業保健リソースを「2・8の法則」で戦略的に活用し、職場のメンタルヘルス改善を最大化しましょう。
以 上