忘年会シーズンこそハラスメント防止が大事

忘年会シーズンに入り、社員同士で楽しい時間を過ごす機会が増えてきました。
一方で、企業の人事部門やコンプライアンス部門にとっては、この時期は注意が必要な季節でもあります。なぜなら、懇親会の場はハラスメントが発生しやすいリスク環境でもあるからです。

実際、今年の10月にもある上場企業の子会社で、社内の懇親会の場で社長によるハラスメント行為が発覚し、加害者である社長が辞任を余儀なくされるという事案が発生しました。

https://corp.benefit-one.co.jp/news/pressrelease/2025/20251022_1.pdf

人事・ハラスメント対策部門としては、懇親会が増える時期に合わせて社員への注意喚起を行うことが重要です。


特に、以下の3点を意識するとよいでしょう。


1. 懇親会も「業務の延長」と考える

たとえ業務時間外であっても、部署や会社主催の懇親会は業務の延長線上にある活動と見なされることがあります。そのため、懇親会での不適切な発言や行動がハラスメントと判断され、場合によっては会社の安全配慮義務を問われるケースも少なくありません。従業員に対しては「飲み会だから」「プライベートだから」という意識を捨て、職場と同じく節度ある言動を心がける必要がある点を周知徹底する必要があります。

特に管理職や役員といった上位者は、懇親会の場でもその地位や影響力を持ち込みやすいため、言動にはいっそうの注意が必要である点を改めて注意喚起することも重要です。懇親会の場で管理職や先輩が日頃の不満を部下にぶつけたり、説教をしたりする行為は、パワーハラスメントとみなされるおそれがある、衣服を脱いだり交際している人がいるかを聞くなどの行為は、セクシュアルハラスメントとみなされるなど懇親会の場に即した具体例を挙げてハラスメント防止の注意喚起を図ることが重要です。


2. 体調やメンタルに不安があるときは無理をしない

疲れがたまっている、ストレスを感じている、体調が万全でない――そんなときにアルコールを摂取すると、セルフコントロールを失いやすくなります。その結果、普段ならしないような言動をとってしまい、ハラスメントに発展するリスクが高まります。役職員に対して、疲れがたまっている、ストレスを感じている、体調が万全でない場合は無理に参加しないことや、参加する場合もノンアルコールで参加するといったことを推奨することもハラスメントリスクを回避するためにはお薦めです。


3. 飲酒を前提としない会の形式を検討する

日本では忘年会=居酒屋というイメージが強いですが、最近ではアルコールを伴わない会食昼食会形式にする企業も増えています。一次会は食事中心にし、二次会は希望者のみで実施するなど、部署の忘年会など業務の延長線上と捉えられる可能性高い懇親会ではリスクを抑えた運営が望まれます。


まとめ

忘年会は社員同士の親睦を深める良い機会である一方、ハラスメントの火種になりやすい場でもあります。実際に社長による懇親会のハラスメントが原因で行為者である社長が辞任する事例も発生しており、一旦発生してしまうと企業の経営に及ぼす影響も大きいものです。人事部門やコンプライアンス部門は、事前に社員・管理職へ向けて注意喚起を行い、健全な懇親の文化を守ることが求められます。

以 上

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