現任者講習会テキストから考える公認心理師試験対策
前回のブログで金剛出版より公認心理師現任者講習会テキストが1月下旬に発売される旨アナウンスしましたが、弊社においても発売されたテキストを入手し内容を検討しました。試験対策の観点からは下記のようなことが言えると思います。
1)情報量が多いが正確な記憶が必要
約300頁に大量の事項が詰め込まれていると感じました。特に関係行政論、精神医学を含む医学分野は情報量が多いと感じられましたが、客観的な根拠を要求される国家試験では出題しやすい分野のため、関連法令の条文内の重要用語、日数、時間数等、各精神疾患の有病率の水準、向精神薬の薬理学的分類、作用機序、適応疾患等については正確な記憶が求められると感じました。
2)法令、制度面を中心に他分野については一から学ぶ必要
テキスト内では保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の各分野のトピックについて万遍なく触れられています。実務で関係のある法令や制度に関しては理解している方は多いと思われますが、直接実務に関係のない分野の法令や制度に通じている方は少ないと思われます。特に福祉、司法・犯罪、産業・労働分野に関しては、保健医療、教育分野に比べて現職の心理職が少ないことや、心理学科で扱われることが少ない分野であることから新たな学習が必要となる方が多いと思われます。
3)心理統計の試験範囲が広い可能性
現任者講習会で扱われる以外の試験範囲である基礎心理学分野においてもテキスト内で概要が扱われています。そのうち、心理統計に関する内容は「統計に関する基礎内容」にまとめられています。テキスト内で触れられている尺度水準、度数分布、代表値と散布度、相関係数と回帰分析といった内容は一般的な心理学科の心理統計学の内容に含まれているものですが、判別分析、ロジスティック回帰、多次元尺度法、マルチレベル分析、メタ分析といった手法は少なくとも学部の心理学科では扱われることの少ない手法です、試験対策としては、そうしたやや発展的と考えられる手法についても手法名と概要については理解しておいた方が良いと思われます。
初年度に公認心理師試験を受験される方は臨床心理士の方が多いと思われますが、臨床心理師試験とはかなり傾向が異なった試験内容となることが予想されます。試験直前の詰め込み学習ではなく、現任者講習会のテキストをベースとしてご自身の知識が無い部分については計画的にインプットと問題演習を通じて記憶の定着を図ることが重要と考えられます。
以 上
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