平成30年版自殺対策白書が公表
厚生労働省ホームページにて平成30年度自殺対策白書が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/index.html
公認心理師試験受験生におかれましては、この白書の根拠法である自殺対策基本法が出題基準に含まれておりますので、白書のうち下記部分に目を通しておくと良いかもしれません。
自殺対策の基本的な枠組み
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/dl/2-1.pdf
自殺者数の推移
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/dl/1-1.pdf
平成30年度版の特徴は、「自殺対策強化月間におけるSNS相談の実施結果の分析」の章です。これは、平成30年3月の自殺対策強化月間に実施された、LINEやチャットなどのSNSを活用した相談事業の結果を分析したものです。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/dl/2-4.pdf
分析結果を見ると、相談件数の87.9%を女性による相談が占めていること(第2-4-9図 男女別相談件数の構成割合)、年齢が上昇するにつれて男性による相談の構成割合が上昇する点(第2-4-11図 男女別、年齢階級別の相談件数の構成割合)、過半数の相談で相談所要時間が1時間以上(第2-4-14図 相談所要時間別の相談件数)など、非常に興味深い結果が公表されています。
また、男女で相談内容の構成割合に違いが有り、たとえば、「経済・生活」、「勤務」の構成割合において、男女差が顕著になっていることが分かります。
白書の集計方法では一人の相談者につき複数の相談内容を記録することがあるようですが、便宜的に1人につき相談内容は1件だったと考えると、カイ二乗検定という統計手法を用いて、『男女で「経済・生活」と「経済・生活以外」の構成割合に差が有ると言えるのか』、言い換えると、「男女と経済生活/それ以外の相談内容との間には関連があると言えるのか」を検討することが出来ます。
カイ二乗検定は、構成割合ではなく、元の相談件数を、下記のような2×2の分割表(クロス集計表)にまとめたデータを対象として行います。
経済・生活 | 経済・生活以外 | 合計 | |
---|---|---|---|
男性 | 135 | 1,298 | 1,433 |
女性 | 377 | 8,740 | 9,117 |
合計 | 512 | 10,038 | 10,550 |
上記の分割表においてカイ二乗検定を適用して、『男女で「経済・生活」と「経済・生活以外」の構成割合に差がない』、または、「男女と経済生活/それ以外の相談内容との間には関連がない」という帰無仮説を仮説検定すると、有意水準1%でも、帰無仮説が棄却されます。
したがって、男女で「経済・生活」と「経済・生活以外」の構成割合に差があると言えることになります。統計分析を学ぶことで、このような公表物のデータに対しても統計的な分析を自分で行ってみることが可能となります。
「仮説検定」「帰無仮説」「有意水準」「カイ二乗検定」についても分かりやすく説明しています!ベターオプションズによる公認心理師試験対策講座はこちら!
以 上
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