誤答パターンからの公認心理師試験対策(産業・統計)①

6月末に公開した公認心理師試験対策練習問題(産業・統計)に対する回答を分析し、誤答パターンから公認心理師受験生が理解しておくべきポイントの解説を行います。今回は第一弾として設問1と設問2の解説を行います。なお、無回答の受験者を除いた190人の回答を分析対象としました。

まず、設問1です。不適切な文章を選択する問題で正答は③です。

選択肢③を正しく選択した回答者が最も多かったですが、選択肢①を選択した回答者が多いことが分かりました。

 

労働安全衛生法は、事業者(法人、個人の場合は個人事業主)に対して、労働者の安全衛生を守り、健康を増進するための義務を課す法律ですが、産業医の選任や衛生委員会の設置などのさまざまな安全衛生管理体制は、事業場(本社ビル、工場、営業拠点等の物理的な建物)単位で求められており、法人として常時使用する労働者数ではなく、各事業場で常時使用する労働者数を基準として決まる点の理解が重要です。

そのため、法人として使用している労働者数が1,000人超の大企業でもあっても、全国に営業拠点がある場合等、すべての事業場が50名未満の場合は、産業医の選任義務や衛生委員会の設置義務はありません。なお、このような事業場ベースの考え方が、果たして望ましいかというのは議論のあるところで、労働安全衛生法の抜本的な改正も含めて現在厚生労働省の検討会等で議論の対象となっています。

次は設問2です。不適切な文章を選択する問題で正答は③です。

選択肢③を正しく選択した回答者が最も多かったですが、選択肢①を選択した回答者が多いことが分かりました。

ストレスチェック制度を定めるために労働安全衛生法が改正される際の当初の法案の段階では、労働者にも受検義務がありました。国会に法案が上程される前の法案の審議過程で「メンタルヘルス不調者にまで受検を強制することはメンタルヘルス不調の予防を目的とする制度趣旨にそぐわない」という意見から受検を義務付ける条文が削除されたという経緯があります。そのため、労働安全衛生法の条文上、労働者にストレスチェックの受検義務がないのみならず、指針やマニュアルにおいて、就業規則等で労働者にストレスチェックの受検を義務付けることは不適当とされています。一方で、指針やマニュアル上は、セルフケアの観点からは特段の事情がない限り労働者は受検することが望ましいとされ、事業者にも労働者のストレスチェックの受検を勧奨することが望まれていることから、「強制にならない受検勧奨の方法とはどのようなものか?」という質問を事業者から実務上多く受けます。

正答の選択肢の③ですが、ストレスチェックの結果は、本人にのみ通知される点がポイントです。したがって、産業医であっても、ストレスチェックの実施者となっていなければ、労働者の個人のストレスチェックの結果は知ることができません(面談等でストレスチェックの結果が必要な場合は本人の同意を得て開示を受ける必要があります)

特にストレスチェック初年度の2016年度においては、この点が事業者や産業医等の関係者に十分に認識されておらず、事業者が産業医との相談なしで外部のストレスチェック業者に実施を委託して事業場の産業医が実施者とならなかった結果、ストレスチェック実施後に、産業医から労働者個人のストレスチェック結果を把握したいとの申し出がありトラブルとなるパターンが多くみられました。

ストレスチェック制度は、近年創設された産業・労働分野でのメンタルヘルス対策の目玉の制度であり、公認心理師のストレスチェック実施者への追加が検討される等公認心理師との関わりが非常に強い制度です。そのため、労働安全衛生法の法律レベルのみならず、省令、指針レベルまでの出題の可能性が高いと考えます。時間のない方も、下記の厚生労働省のストレスチェック制度導入ガイドは一読してストレスチェック制度の流れや留意点を理解しておくことをお勧めします。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf

 

以 上

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