誤答パターンからの公認心理師試験対策(産業・統計)⑤

6月末に公開した公認心理師試験対策練習問題(産業・統計)に対する回答を分析し、誤答パターンから公認心理師受験生が理解しておくべきポイントの解説を行います。今回からは、統計・研究法分野の第3問目、全体では8問目の解説を行います。

設問8は不適切な選択肢を選ぶ内容です。正答は④でした。帰無仮説が正しいのに帰無仮説を棄却してしまう誤りは、第二種の誤り(βエラー)ではなく、第一種の誤り(αエラー)です。第二種の誤り(βエラー)は、帰無仮説が誤っているのに棄却しない誤りです。この2つの誤り(エラー)を含む仮説検定の分野は、大学学部レベルの心理統計の講義の山場の一つであること、実際の定量的な研究では当たり前のように用いられる内容であることから、公認心理師試験でも出題が予想される範囲です。仮説検定の手続きはどのようなものか第一種の誤り(αエラー)第二種の誤り(βエラー)については、自分の言葉で周囲の人や友人知人に説明できるくらいに理解しておくことをお勧めします。余裕があれば、検定力(検出力)についても、その定義と考え方について確認しておくことをお勧めします。

回答分布をみると、選択肢4を正しく選択した方が4割以上となりました。心理統計を学んで記憶に残っている人、実際に研究等で仮説検定に触れている人にとっては、実力が発揮できた問題だった可能性があります。

誤答の選択肢では、選択肢①と選択肢⑤を選択した方が多い結果となりました。それぞれについて以下で簡単に解説します。

選択肢①については、正しい内容です。データに対して一律にある数を加えた場合(たとえば全員の点数に10点を加える)、あるいは、ある数をかけた場合(たとえば全員の点数を10倍する)の平均値と分散(標準偏差)の変化が理解できていれば、計算をすることなく回答可能です。

データに対して一律にある数を加えると、データの平均値はその分増加しますが、分散と、その正の平方根である標準偏差は変化しません。「分散は、平均値を中心としたデータのばらつきの大きさ」ということが分かっていれば、「データに対して一律にある数を加えた場合に平均値もその分増加するのであれば、平均値を中心とするデータのばらつきの大きさ(分散)は変化しない」と考え、正答を導くことができます。この内容も出題可能性が高い内容ですので、理解が不確かだった方は復習しておくことをお勧めします。

選択肢⑤も正しい内容です。回帰分析における決定係数の意味、取り得る値の範囲、解釈についてはよく復習しておきましょう。試験出題側の心理としては、選択肢⑤の決定係数を相関係数に入れ替えて不適切な内容の選択肢とすることを思いつきますので、相関係数と決定係数は、それぞれ区別して理解しておきましょう。

 

以 上

 

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