新たにリモートワークを始めた人への心理学者からのアドバイス

新型コロナウイルス対策で、オフィスではなく自宅でネットワーク環境を通じて、いわゆるリモートワークで業務を行っている方も多いと思います。
アメリカ心理学会が先月公表した「新たにリモートワークを始めた人への心理学者からのアドバイス」を紹介します。
原文が英語ですので、弊社でその要点を簡単にまとめますと下記のようになります。
なお、日本心理学会による全文訳も公開されていますのでぜひご覧ください。
  1. 気をそらすものを最小化する

家事の騒音や家庭内の活動から隔離された仕事場所(理想的にはドア付き)を選ぶことが推奨されています。

2.目標設定と境界を設けること

必要に応じて上司と目標設定しながら、日次の目標やプロジェクトの中間目標をマイルストーンとすること。

仕事と生活の境界が曖昧になるため、オフィスで仕事をしていた時と同様の境界や決まった手順を設定すること。

3.コミュニケーション計画を策定する

上司と従業員の双方がパフォーマンスへの期待と生じる困難な点についてコミュニケーションすることに加えて、同僚間でのコミュニケーションの方法と頻度についても計画を立てること。
場合に応じてコミュニケーションの方法を使い分けること。
たとえば、情報共有であればEメールを利用するが、チームと複雑な共有された情報を理解するのであれば、電話やビデオ会議を使って議論することを考える。

 

4.人とのつながりを求めること

リモートワークをする従業員はもともと疎外感を感じやすいため、なるだけ、オフィス勤務時と同じようなつながりが再現されるような仕組みをお互いに提供する必要。
上司は、電話やビデオ会議で従業員が同僚間の関係を維持できるようインフォーマルな機会を提供するのも良い。

弊社の経験からの上記アドバイスへの補足

弊社の経験から上記アドバイスへの補足を以下に付記します。
1.については学校の休校の影響や、日本の住宅事情もあり、日本においてそのまま実行するのは難しいかもしれません。お子さんがいる家庭の場合は、お子さんに状況の説明をすることに加えて、仕事に入る時には家具の配置を変えたり、面倒でも部屋着ではなくややフォーマルな服に着替える等の仕事とプライベートのモードの切り替えを周囲に可視化=見える化することも良いと思います。
2.については、スポーツ選手が試合に入る前や打席に立つ前に同じ行動を繰り返す「ルーティン」をイメージしてもらうと良いと思います。
 仕事はじめに今日のタスクを確認する、あるいは、仕事終わりに日報を書くといった仕事関連の行動でも良いと思ますし、コーヒーを飲む、机の周りを掃除するといった行動でも良いと思います。

3.については、これまでリモートワークを経験したことのない従業員にとって重要なことと思います。リモートワークで用いるツールでは常時コミュニケーション可能なツールがありますが、常時上司や同僚からコメントやメッセージが届く環境下では、仕事への集中が阻害されてしまいます。また、自分の作業と複数の他者とのコミュニケーションを同時に意識することは脳の情報処理に負荷がかかりメンタルヘルス上も好ましくありません。

会社や部署として、コニュニケーションツールに全員がログインする時間帯を組織で決めておき、その時間帯以外はログアウトや「離席中」のステータスとして原則各自の作業時間とすることをお勧めします。その際の連絡は電子メールとする等、個別作業に集中出来る仕組みを作ることをお勧めします。緊急に話し合う事態が発生した場合は、電話で連絡を取り、コミュニケーションツールやテレビ会議システムへの参加やログインを促します。

4.については、これまで同僚との食事や雑談の機会がコミュニケーションの場になってきた方にとっては、影響が大きいと思います。対面での食事や雑談は難しい状況ですが、テレビ会議システムやチャットツールにおいて、業務用のチャネルに加えて、雑談・おしゃべり用のチャネルを作って昼休みや休み時間の時間帯には上司や同僚と仕事以外のコミュニケーションを取れるようにしてはどうでしょうか?

 

 

日本の場合は、欧州や米国と異なり新型コロナウイルス感染者数の増加スピードが現状では遅いことが特徴です。このこと自体は感染爆発の防止を目指す良いことですが、一方で、長期間の自粛を余儀なくされ、リモートワークが常態化する可能性が高くなってきています。
企業の人事担当者におかれましては、ぜひ、リモートワークで従業員が健康でいきいきと働けるような仕組みづくり、体制づくりの検討、実施をお勧めいたします。
弊社におきましても、そうしたリモートワークを前提とした、健康経営、従業員のメンタルヘルス対策、ワーク・エンゲイジメントやパフォーマンス向上のためのサービス開発に邁進して参ります。
以 上

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