【調査】健康経営銘柄企業は感染症リスクをどの程度重要視していたか?

はじめに

 新型コロナウイルスの大流行は経済にも大きな影響を及ぼしています。
 これまでもインフルエンザの流行、食中毒など公衆衛生の問題が社会問題化したことはありましたが、あくまで局地的な公衆衛生の問題として認識されていました。それに対して新型コロナウイルスの流行は、グローバルに影響を及ぼし、かつ公衆衛生に留まらない経済問題としても認識されるに至っています。
 そこで、今般、弊社においては、2020年3月に「健康経営銘柄2020」に選定された上場企業40社の有価証券報告書をもとに、健康経営銘柄企業に感染症が事業上のリスクとしてどの程度重要視されていたのかを調査しました。

調査について

健康経営銘柄とは?
  健康経営銘柄とは、済産業省と東京証券取引所が、年に1度、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業」として選定している企業群です。「健康経営銘柄2020年」の選定で制度開始から第6回目となっています。
健康経営銘柄に選定される企業は上場企業のうちでも、とりわけ感染症を含む疫病や健康問題が企業の経済活動に及ぼすリスクに感度が高い企業群と考えられます。

 

 今回の調査では、「健康経営銘柄2020」に選定された40社の有価証券報告書を対象に分析を行いました。
有価証券報告書とは?
  有価証券報告書とは、上場企業等の一定の要件を満たす企業が、投資家に対して事業年度ごとに開示することが求められる書類です。企業の事業の状況、財務状況、経営体制等を開示することで、一般投資家が十分に投資判断を行うことが出来ることを目的としています。
 有価証券報告書の中には財務状況、経営体制をはじめとして多くの記載事項があります。その中には、事業等に関するリスクが記載されている部分があり、各企業が自社の事業に対して何をリスクとして捉え、重要視しているのかを伺い知ることが出来ます。
 事業リスクとして挙げられているものの例としては、為替変動、原材料価格の変動、テロ、自然災害、経済情勢等が含まれていますが、新型コロナウイルスのような感染症や疫病の流行が含まれていることもあります。

 今回は、2019年度の有価証券報告書を用いて、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.事業等」の、「事業等のリスク」に、疫病、感染症、新型インフルエンザといった形で感染症のリスクが記述されているかを調査しました。なお、鳥インフルエンザのような動物性の感染症やコンピュータウイルス等の感染は除きました。

調査における決算月の考慮

今回調査対象となった40社の企業においては、決算月が2019年3月、2019年5月、2019年12月の企業が存在します。有価証券報告書の提出時点の違いを考慮するため、分析においては、2019年3月決算及び5月決算決算の企業と、2019年12月決算の企業に分けて分析しました。

 

調査結果

まず、有価証券報告書の「事業等のリスク」の部分の感染症関連の記述の割合を示しました。
2019年3月及び2019年5月決算企業においては、32社中19社(59%)において感染症関連のリスクが記述されていました。
一方で、2019年12月決算企業においては1社を除いて感染症関連のリスクが記述されていました。
多くの企業で新型インフルエンザ等の感染症がリスクとして記述されていましたが、株式会社堀場製作所のようにCOVID-19を特定してリスクとして記述している企業もありました。
2019年12月決算企業においては、花王株式会社、住友ゴム工業株式会社のように2018年12月決算からすでに感染症に関する記述があった企業もありましたが、株式会社アシックス、キヤノン株式会社のように2019年12月から有価証券報告書への記述が追加された企業もあります。
このことは、ここ1年未満で、新型コロナウイルスの流行を契機として、感染症の蔓延、拡大が上場企業の経営上の事業リスクとして急速に認知されてきたことを物語っていると言えます。
次に、2019年3月または5月決算企業に限定して、健康経営銘柄の選定回数別に、感染症のリスクの記述の有無を見てみました。
初回選定の企業においては、大多数が感染症リスクの記述がないことが分かります。
選定が2回目以降の企業群に関しては、4回目選定企業を除いて、感染症リスクの記述ありの企業が多い結果となっています。
企業数が多くないため、あくまで仮説ですが、健康企業銘柄への選定を重ねるにつれて、有価証券報告書の作成に関与する経営企画・財務系部門も含めて、健康や病気が経営に及ぼす影響の大きさについて意識が向上したのかもしれません。
あるい、健康経営銘柄に選定をきっかけとして選定された企業同士で情報交換がなされたのかもしれません。

最後に

 新型コロナウイルスの流行については現在予断を許さない状況となっています。
その影響で、感染症対策はもちろんのこと、都市部を中心とする多くの働く方が在宅勤務等の新しい働き方への移行を求められる状態が続いております。
健康経営、働くの人の支援をミッションとしている弊社としましては、感染症対策を含む健康経営の推進、リモートワークでの新しい働き方におけるメンタルヘルス対策、ワーク・エンゲイジメント向上のためのソリューション提供を一層推進して参ります。
以 上

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