健康経営銘柄、ホワイト500に必要な健康経営度調査を分析する

はじめに

今月8日に健康経営銘柄2023及び健康経営優良法人2023が発表されました。https://kenko-keiei.jp/914/

健康経営銘柄、健康経営優良法人ともに、企業や非利営利法人の健康経営への取り組みを評価し、認証する仕組みですが、健康への意識の高まり、人材採用難、認証制度自体の知名度の高まりもあって、企業や非利営利法人が組織の健康経営への取り組みを通じて「ホワイトさ」を対外的にPRするためには必須の認証となりつつあります。

健康経営銘柄は東京証券取引所の上場企業を対象とした認証、健康経営優良法人のうち大規模法人部門は大企業や大規模非利営利法人を対象とした認証ですが、ともに健康経営度調査という申請する企業や非利営利法人が回答した調査の評価が基礎となって認証されます。

健康経営度調査は、経営理念・方針、組織体制、制度・施策実行、評価・改善、法令遵守・リスクマネジメントの5領域から構成され、それぞれの領域での自社の体制や取り組みを問う設問に多肢選択式あるいは自由記述形式で回答します。

令和4年度健康経営度調査サンプル:https://kenko-keiei.jp/wp-content/themes/kenko_keiei_cms/files/r4.kenkoukeieidotyousahyou.sample.pdf

その健康経営度調査の結果について、開示に同意した企業や非利営利法人分については上記の健康経営事務局サイトにおいてエクセルシートで公開されています。そこで今回は、そのデータをもとに、健康経営度調査から見る企業や非営利法人の健康経営への取り組み状況について分析してみたいと思います。

健康経営度調査の分析

令和4年度の健康経営度調査の結果の開示に同意した法人数は2,238(うち上場企業726社)となっています。業種別に見ると、サービス業最も多く、以下、小売業、情報・通信業、卸売業と続いています。日本全体においてこれらの法人数が多いということもありますが、いずれも人が重要な資産となる業種であること、人の採用が重要となる業種が健康経営度調査への回答企業数として上位にランクしているのが特徴です。

出所:令和4年度健康経営度調査に基づくフィードバックシート(https://kenko-keiei.jp/1042/)をもとに㈱ベターオプションズ作成

次に、認定に重要な全ての領域を総合した総合評価の分布を見てみます。
600点台の法人が最も多いことが分かります。

出所:令和4年度健康経営度調査に基づくフィードバックシート(https://kenko-keiei.jp/1042/)をもとに㈱ベターオプションズ作成

健康経営優良法人のうち大規模法人部門では、上位500の法人が「ホワイト500」として顕彰されます。参考までに、令和4年度健康経営度調査での総合評価の500位のラインは604.4点となっています。つまり、「ホワイト500」に認定されるのは健康経営度調査に回答している法人の中でも一握りの法人であることが分かります。

経営度調査においては、取り組みを多肢選択式で回答する項目が中心ですが、取り組みの内容等について、自由記述式で回答する項目が存在します。

まず、「1.経営理念・方針」のうち「Ⅰ.経営上の課題に対する健康経営の戦略」において、回答法人が「健康経営で解決したい経営上の課題」としてどのような課題を挙げているか見てみると、「従業員のパフォーマンス向上」が半数近くを占めていることが分かります。

出所:令和4年度健康経営度調査に基づくフィードバックシート(https://kenko-keiei.jp/1042/)をもとに㈱ベターオプションズ作成

次に、上記の「健康経営で解決したい経営上の課題」に関する自由記述の内容をテキスト分析し、登場する「名詞」の頻度でワードクラウドを作成しました。「健康」という言葉が中心になるものの「パフォーマンス」「向上」「成長」「経営」「生産」といった単語も見られ、健康増進に力を入れることで従業員のパフォーマンス向上、成長等につなげることが課題と考えられていることが伺えます。

まとめ

今回は企業や非営利法人が自社の健康経営の取り組みを対外PRする際に必須となりつつある、健康経営銘柄、健康経営優良法人の認定に必要となる健康経営度調査の結果について分析しました。

  • 健康経営度調査に回答している法人は、サービス業など人が資産となる業種が多い
  • 健康経営度調査の総合評価で上位にランクインするのは狭き門である
  • 企業や非営利法人においても健康経営を通じて従業員のパフォーマンス向上を図ることが課題として認識されている

以 上

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