うちの会社のエンゲージメントサーベイではなぜエンゲージメントが向上しないのか?

はじめに

近年「エンゲージメントサーベイ」に注目が集まり、エンゲージメントサーベイを実施している企業が増えています。同時にエンゲージメントサーベイを実施している企業からは、「エンゲージメントサーベイを実施して結果を管理職にフィードバックしているが、エンゲージメントサーベイが向上しない」という声が聞かれます。そこで、今回はなぜエンゲージメントサーベイのスコアが向上しないのか、その原因を考察してみたいと思います。

エンゲージメントサーベイのスコアの変化を統計的に分析出来ていない

1つ目の原因として、そもそもエンゲージメントサーベイのスコアの変化を統計的に正しく分析出来ていないことが考えられます。エンゲージメントサーベイのスコアの会社全体の平均値をもとにエンゲージメントが上がった下がったを判断している企業が多く、その変化を統計的に分析出来ている企業は稀なのが現状です。

エンゲージメントサーベイのようなアンケートで測定されたスコアは誤差を含んでいるため、「前年と比べて今年のスコアは変化しているのか?」という問いに答えるためには統計学を活用した分析が必要になります。本来はエンゲージメントサーベイを提供しているベンダー企業が統計的な分析結果もフィードバックすることが望まれますが、残念ながら多くのベンダーは統計的な分析結果をフィードバックしていないため、統計学的に根拠がなくスコアが上がった下がったという理解に留まっている企業が多いのが現状です。

エンゲージメント向上施策が正しく実施されていない

2つ目の原因としてはエンゲージメントを向上させるための施策が正しく実施されていないということが考えられます。エンゲージメントを向上させるためにはエンゲージメントに影響を及ぼす組織要因もエンゲージメントサーベイで測定されている必要があります。この組織要因については思い付きではなく学術的にもエンゲージメントと関連のあることが検証されたものであることが望まれます。残念ながら現在流通しているエンゲージメントサーベイには組織要因自体が盛り込まれていなかったり、エンゲージメントとの関連性に疑問符の付く組織要因が盛り込まれていることが多いのが現状です。

エンゲージメントを向上させるための施策についても単純に管理職にエンゲージメントサーベイの結果をフィードバックしたり、管理職向けの研修を行えばそれで良いというものでありません。管理職が従業員のエンゲージメントの鍵を握っていることは間違いありませんが、管理職の日頃の行動が従業員のエンゲージメントを向上させるものになっていなければ、組織としてのエンゲージメント向上につながりません。

たとえばダイエットのための運動もそうですが、やると決意してもその行動が習慣化するには一定の時間を要します。そのため、管理職のエンゲージメントを向上させるための行動を習慣化させるためには定期的に管理職にそのような行動がが実践できているかフィードバックすることが必要です。その一つの手段としては高頻度で実施するいわゆるパルスサーベイが考えられます。エンゲージメント自体は数週間単位では変動しないと考えられるため、エンゲージメントを数週間に1回といった高頻度で測定することには意味がないと考えますが、エンゲージメントを向上させる行動が出来ているかどうかのサーベイは高頻度で実施しその結果を管理職にフィードバックすることには意味があると考えます。サーベイの実施までは難しくても、たとえば人事部門から管理職にエンゲージメント向上のための行動の重要性を定期的に伝えるといった取り組みは行動の習慣化のために最低限必要と思います。

以 上

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