カスタマーハラスメント対策はなぜ重要か?
はじめに
ここ数年「カスタマーハラスメント」という言葉をよく耳にするようになりました。関連してカスタマーハラスメント対策も注目を集めています。そこで、今回はカスタマーハラスメント対策を巡る現状となぜカスタマーハラスメント対策が重要かについて説明したいと思います。
<執筆者紹介>宮中 大介。はたらく人の健康づくりの研究者、株式会社ベターオプションズ代表取締役。行動科学とデータサイエンスを活用した人事・健康経営コンサルティング、メンタルヘルス関連サービスの開発支援に従事。大学にてワーク・エンゲイジメント、ウェルビーイングに関する研究教育にも携わっている。MPH(公衆衛生学修士)、慶應義塾大学総合政策学部特任助教、日本カスタマ―ハラスメント対応協会顧問、東京大学大学院医学系研究科(公共健康医学専攻)修了
カスタマーハラスメント対策を巡る最近の動向
直近の動きをまとめると下記のようになっています。
- 2022年2月 厚生労働省よりカスタマーハラスメント対策企業マニュアル公開https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24067.html
- 2023年10月 東京都にてカスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会が開始
- 2023年12月 カスタマーハラスメントを宿泊拒否事由に含める改正旅館業法が施行
- 2024年 東京都にてカスタマーハラスメント対策の条例化の動き
- 2024年 北海道にてカスタマーハラスメント対策の条例化の動き
特に注目されるのは東京都と北海道でのカスタマ―ハラスメント対策の条例化の動きで、今後他の都道府県でもドミノ式に条例化の動きが出て来る可能性もあります。
カスタマーハラスメント対策はなぜ重要か?
カスタマーハラスメントが重要である理由として、以下の3点が考えられます。
カスタマーハラスメントによる従業員の休職・退職を防ぐことになる
カスタマーハラスメント対策が重要である点として、まず従業員がメンタルヘルス不調による休職や退職を予防出来る可能性を挙げることが出来ます。従業員が顧客からの罵倒、暴行といった被害を受けることによってメンタルへルス不調に陥ってしまう可能性があります。従業員のメンタルヘルス不調はその後休職や退職につながってしまう可能性があります。メンタルヘルス不調とその後の休職、退職の関係はストレスチェックのデータを用いて研究で明らかになっています。ストレスチェックで高ストレス者に該当した人はそうでない人に比べると、その後病気休職しやすかったり退職しやすかったということが明らかになっています。詳しくは弊社noteをご覧ください。https://note.com/miyanaka/n/n801b02022b71
カスタマーハラスメント対策が採用時にPRになる
カスタマーハラスメント対策をしっかりしているということは採用時にプラスになる可能性があります。日本総合研究所が就職活動生に対して実施した調査によれば、従業員の健康や働き方に配慮している企業に就職したいと思う就職活動生が多いことが分かります。https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/H28_houkokusyo_kenkoukeiei.pdf
現在、ホテル、小売業、飲食業では人手不足が続いており賃上げする企業も続出していますが、業界内の1社が賃上げすると他社も追随して給与水準は応募や入社の決め手とならない可能性があります。カスタマーハラスメント対策に関しては徹底出来ている企業は少数派であるため、カスタマーハラスメント対策にしっかり取り組んで対外的にPRすることで人材採用面で差別化出来る可能性があります。
カスタマーハラスメント対策が業績向上につながる可能性がある
これまで説明したように、カスタマーハラスメント対策に取り組むことで、カスタマーハラスメントによる従業員の休職や退職が減少し、良い人材を採用出来るようになると企業の業績にも好影響を与える可能性があります。また、カスタマーハラスメント対策には、顧客対応のトレーニングや対応マニュアルを見直す等が含まれています。これによって顧客対応フローをより効率化したり、顧客満足度を向上させることが出来る可能性があります。それによって最終的には企業の業績が向上する可能性があります。つまり、カスタマ―ハラスメント対策が特にホテル、小売業、飲食業といった業種で業績の底上げにつながる可能性があります。
終わりに
今回はカスタマ―ハラスメント対策に関する動向、カスタマ―ハラスメント対策が重要な理由について解説しました。ぜひ、この機会にカスタマ―ハラスメント対策に取り組むことをお勧めします。
以 上