組織サーベイ開発の落とし穴

弊社には組織サーベイ開発のためのコンサルティングのご依頼を多く頂きますが、これまでにも組織サーベイを開発したもののリリースしたら売れなかった、あるいは顧客企業に導入されても利用が継続されなかったというお悩みをよく耳にします。そこで今回はその原因となっていることが多い組織サーベイ開発にまつわる3つの落とし穴について説明したいと思います。

営業部門と開発部門の間に壁があった

第一点は、開発部門が営業部門と全く連携せずに複雑なものを作り過ぎたために、営業部門が売れなかったというものです。サービス開発は往々にしてその分野に知識がある人が担当することが多いため、最新の知見や機能をあれもこれも盛り込んだりして複雑なものにする傾向があります。

しかし、実際にサービスを顧客に販売する営業担当者はそこまで理解がないため、サービスを顧客に十分に説明できなかったり顧客からの質問に対応できないということが往々にして発生します。開発部門と営業部門が開発当初から連携し、現場の営業担当者が把握している顧客ニーズを把握した上で、営業担当者が顧客に説明する前提で仕様を開発していくことが必要です。

人事部門の本音と建前を認識していなかった

二点目は人事部門の本音を理解していなかったということです。例えばエンゲージメントサーベイあるいはパルスサーベイといったサービスであれば、「従業員の退職防止」「従業員の生産性・組織の業績向上」といった点を訴求することが多いと思います。そういった建前としてのニーズも重要ですが、人事部門の担当者の本音も理解しないと、サービスの導入や継続につながらない点は理解しておくべきポイントです。

人事部門の本音のニーズとしては、例えば、従業員からの問い合わせ対応や、分析結果レポートの作成等の余計な仕事を増やしたくない等です。一方で人事部問の存在意義を示す意味で、自社ならでは設問を設定したいとか独自性のある組織分析をしたいといったニーズもあり得ます。組織サーベイ結果によって様々な課題が明らかになることで、その後の具体的な改善策を求めている企業もあれば、一旦組織診断までで良いという企業もあります。同じ人事部でも担当者の職階によってニーズが異なります。部長や課長やいろいろ分析したいというニーズを持っていても実際に手を動かす担当者レベルではなるべく手を動かしたくないというニーズが有り得ます。組織サーベイの開発にあたっては、人事部門の本音と建前を考慮して設計する必要があります。

現場の従業員の実態やニーズを無視していた

最後に大きな落とし穴として多いのは、従業員のニーズを理解していないということです。サービスの購買の決定権を持っているのは人事部門ですが、導入した実際にサービスが継続されるかどうかの鍵を握っているのは実は従業員という点が重要です。従業員の回答率が低い場合や従業員からサーベイに対して不満が出る場合、人事部門としても翌年度以降にサーベイを継続をすることが難しくなります。このような従業員の不安が出る背景には、サーベイ開発の際に、日常業務で非常に忙しい従業員のニーズを捉え切れていなかったということがあります。項目数が多かったり実施頻度が多いサーベイはそういった不満につながりやすいと考えられます。従って項目数や実施頻度の設計に関しては、サーベイに回答する従業員の負担感がなるべく少なく、かつ回答から得られたフィードバックが従業員の役に立つと感じられるサーベイとすることがポイントです。

まとめ

以上で組織サーベイ開発の3つの落とし穴を解説しました。その他にも、様々な落とし穴がありますが、ポイントは組織サーベイ開発の当初から利用者、購買者、営業担当者といった組織サーベイに関わるステークホルダーの現状や真実のニーズをしっかり把握することです。「エンゲージメントサーベイ」「パルスサーベイ」といった流行のワードに開発部門が飛びついて開発を進めてしまうことだけは避けた方が賢明であると考えます。

以 上 

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