【新春対談】株式会社カモマン代表取締役の宮原うらら様に聞く

はじめに

2024年の対談シリーズ第1弾は、新春対談として、「Innovation in Schools.」をコンセプトにサービスを提供する株式会社カモマン(https://www.camoman.net/)代表取締役の宮原うらら様に弊社代表取締役の宮中大介がお話を伺いました。

<宮原うらら様のプロフィール>

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、三井不動産株式会社に入社。日本橋の街づくり/新規事業開発を担当する中で、公教育の可能性に志を抱く。その後、2019年に株式会社カモマンを起業。学校の課題解決と企業の人材育成を組み合わせたインターンシップ事業や外部人材の教員免許状取得を支援する対策講座等、数々の先駆的な取り組みを推進。

<聞き手:宮中大介>株式会社ベターオプションズ代表取締役。慶應義塾総合政策学部特任助教。東京大学医学系研究科公共健康医学専攻修了(公衆衛生学修士)。HRテクノロジー関連のサービス開発やコンサルティングに従事するほか大学にてワーク・エンゲイジメントやメンタルヘルスに関する研究に従事。

教師エンゲージメントサーベイに着目した背景

宮中:今回は弊社が開発をコンサルティングさせて頂いた「教師エンゲージメントサーベイ(https://teacher-engagement.com/)」をリリースされた株式会社カモマン代表取締役の宮原うらら様にお越し頂いております。よろしくお願いいたします。

まず初めに、宮原様が「教師エンゲージメントサーベイ」の開発に至った経緯を伺えますか?

宮原様:これまで、「外部人材と学校現場の接続」をテーマに事業を進めてまいりました。しかし、その中で公教育の中核を担っているのは紛れもなく教職員の皆さまだと実感したのです。同時に、いまや社会課題にもなっている教師の人材不足や過酷な労働環境に苦しむ様子も目の当たりにし、教職の魅力化や働き方改革の推進を通して、「もっと教職員がイキイキと働き、ポテンシャルを発揮できる環境づくりに貢献したい」と考えるようになりました。

宮中:ありがとうございます。そのうえで、どうして「エンゲージメントサーベイ」を学校現場にも取り入れようと考えたのでしょうか?近年、企業では人的資本経営の観点から「エンゲージメント」が非常に着目されており、その流れで「エンゲージメントサーベイ」が多く導入されていますが、学校現場での活用は極めて先進的だと思います。

宮原様:当初の課題感は、現状の学校評価の在り方でした。偏差値・進学実績・カリキュラム等のハード面のみで学校の価値が定義されているため、いつまでも教職員の状態が改善に向かわないのではないか、と。そのため、教職員を起点とした新たな学校評価を創り、世の中の学校像・教師像の転換を進めることが変革の突破口になると考えていました。

視野を広げて社会にヒントを求めた際に、組織改善に用いるための従業員の働きがいの指標でもあり、投資家や顧客にとっては組織価値を測る指標としても活用されている「エンゲージメント」にたどり着き、「まさにこれだ!」と迷いなくリサーチを始めました。

カモマン様の教師エンゲージメントサーベイの特徴

宮中:ありがとうございます。さて、今回の「教師エンゲージメントサーベイ」の開発にあたっては弊社が学術的観点からアドバイスさせて頂いているのですが、改めてサーベイの特徴についてご紹介頂けますでしょうか?

宮原様:最も大きな特徴としては、企業が活用している「エンゲージメントサーベイ」を学校向けにリデザインし、教育効果や人材定着と相関することが報告されている教師エンゲージメントと、その向上にかかわる16 のキードライバー指標を用いていることです。サーベイ結果は客観的・定量的なデータになり、組織や職場の強み・課題が可視化されます。ダッシュボードに情報が蓄積されていくため、様々な観点での比較や変化の記録も可能です。

宮中:なるほど。エンゲージメントだけ測定するのではなくエンゲージメントと関連するキードライバーも併せて測定しているというのは、結果をもとに組織のエンゲージメントを向上させていく上で非常に大事な点ですね。「教師エンゲージメントサーベイ」に関してはサーベイ結果の活用も支援されると伺っております。その辺りも教えて頂けますでしょうか?

サーベイ結果による可視化で組織の活性化・職場改善、ブランディングにも

宮原様:はい、サーベイ結果以上に、どのように改善に向けたアクションができるかが重要だと考えています。とはいえ、構える必要もありません。労働時間や待遇を直ぐに改善することができなかったとしても、データに基づくわずかな意識や行動の変化により充分な効果が期待できるからです。

宮中:サーベイで現状を適切に把握し、データにもとづいて教職員がイキイキと働ける職場環境に変えていくということですね。行動変容にはフィードバックが重要な役割を果たすという心理学の知見とも符合する考え方ですね。それらを学校のブランディングにまでつなげていく仕組みを考えていると伺いましたが、その点についてはいかがでしょうか?

宮原様:そうですね、組織の活性化・職場改善等を通じた教育環境の持続的な質向上を推進している学校として、「教師エンゲージメント推進校」の認定マークを付与する予定です。活用を通して各学校の生徒募集や教職員採用にお役立ていただきたいのは勿論、「よりよい学校づくり」の社会機運を醸成していけたらと考えています。教師エンゲージメントという概念を広く浸透させることで、教師の働きがいや働きやすさが重視される世の中にしていきたいです。

宮中:いくら良い取り組みをしているといっても可視化できなければ外部に伝わりませんから、そういった認定マークで取り組みが可視化されるのは非常に良いことですね。今回「教師エンゲージメントサーベイ」の開発をコンサルティングさせて頂くにあたっては教師エンゲージメントに関する学術研究はもちろんワーク・エンゲイジメント、組織コミットメント等に関する学術知見を参照し、納得のいく仕上がりになりました。実際、学校現場からはどのようなフィードバックを受けていますか?

宮原様:ストレスチェックや満足度アンケートと異なり、教育効果や人材定着との相関が前提となっている点を評価いただくことがとても多いです。また、私たち第三者の介入により客観的なデータとして組織状態を把握できる点にも魅力を感じていただいています。 加えて、システムの使い勝手の良さやリーズナブルな料金設定にもポジティブなお声が多いです。

宮中:なるほど。サーベイは活用いただいてこそ価値あるものなので、学校現場での導入が進み、公教育の変革に役立つものになったら私としても嬉しく思います。最後になにかメッセージがあればお願いします。

宮原様:これからの時代、学ぶ内容・方法はAI技術等の普及により均質化され、学校の本質的な価値は、教師の在り方そのものにシフトしていくと考えています。また、業界全体で、教職そのものの魅力化をはかる必要にも迫られています。「教師エンゲージメントサーベイ」を通して、学校、教職員、児童生徒・保護者、すべての関係者にとって持続可能なポジティブ・スパイラルをいっしょに実現しましょう!

宮中:ぜひ、今後「教師エンゲージメントサーベイ」と公教育全体が発展していくことを期待しております。宮原様、お忙しいところ本日はありがとうございました。

宮原様:ありがとうございました。

宮原うらら様が代表取締役を務める株式会社カモマン及び教師エンゲージメントサーベイのウェブサイトはこちらです。

株式会社カモマン(https://www.camoman.net/

教師エンゲージメントサーベイ(https://teacher-engagement.com/

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